スイスの大学で働く若手研究者(写真と本文は関係ありません)=スイス・ベルンで2024年4月17日、田中韻撮影 生活費や学費が賄えず、日本で研究を続けられなかったかもしれない――。中国人の羅雯姝さんは、留学生活の苦境ぶりをこう振り返る。その後、経済的な支援の手厚い欧州の大学に籍を移した羅さん。日本で学ぶ留学生は約14万人に上るが、欧州などに比べ経済的な支援は手薄だ。研究環境の悪化は、留学生の定着を阻む事態を招いている。 この連載は全4回です。 第1回 国にほんろうされる元高齢ポスドク 第2回 出産と就活が重なり、育休も取れない研究者 第3回 「300時間残業」も突然クビ 第4回 海外から見た日本の環境 羅さんは2008年、在学していた上海海洋大の提携校だった北海道大に留学するため、来日した。欧米よりも中国に近く、専門とする海洋応用生命科学の研究環境も整っている北大大学院で修士号を取得。正確な