(2013年3月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 欧州の首脳会議が行われるブリュッセルの巨大な建造物ユストゥス・リプシウス・ビル。3月15日金曜日の夜にビルに足を踏み入れたキプロスの代表団は知らなかったが、彼らの運命は既に定められていた。ドイツの代表団は、推定170億ユーロのキプロス救済資金のうち、約70億ユーロをキプロスの銀行預金から徴収することを望んでいたのだ。 「ドイツの代表団はフィンランドの代表団と歩調を合わせており、フィンランドの方がドイツよりはるかに独善的だった」 16日土曜日の午前3時まで続いた10時間のマラソン協議に参加したユーロ圏のある高官はこう話し、「協議がまとまらなかったら、全面的なベイルイン(債権者の損失負担)しかなかった」と付け加える。全面的なベイルインは、キプロスの銀行口座をほぼ空っぽにすることを差す用語だ。 キプロス大統領の誤算 地中海の島国キプロスは