「緊急事態」が日常的に呼号されるという未曽有の危機的状況が続いている。商店街もシャッターが下ろされているし、裁判所も公判を延期、拘置所も一般面会禁止と、今まで想定しえなかった異様な事態だ。これがへたをすると1カ月続くとあって、いったいこの社会はそれに持ちこたえられるのだろうかと不安になってしまう。まさに「非常時」だ。 緊急事態を理由に批判が封殺された過去の歴史も 感染拡大という危機的事態に市民が理解を示し、拡大防止に力をあわせるのは当然だ。ただ気になるのは、そのことをもって同調圧力が加速し、こんな時に国家のやることを批判するのは非国民だ、といった風潮が強まることだ。考えてみればファシズムや戦争へと国家が方向を誤るのは常に社会が大きな危機にさらされた時だ。こんな時こそ、国家が方向を誤らないよう監視する機能がマスメディアに求められるのだが、過去の歴史を見ると、マスメディアが権力監視どころか大政