重い恒星が寿命の最期に残す「中性子星」は、全体が1つの原子核であると例えられるほどに超高密度な天体です。このような中性子星同士が衝突すると、その瞬間に1兆℃と推定される超高温・超高圧な状態が生じ、「キロノバ」と呼ばれるエネルギー放出現象が起きます。キロノバでは同時に核反応が高速で進行し、金やウランといった重い元素が生成されます。鉄よりも重い元素は恒星中心部の核融合反応では生成されないと考えられているため、キロノバは重い元素が宇宙に存在する理由の1つであると考えられます。地球や生物はこのような重い元素も重要な構成物であるため、その生成過程に関心が持たれています。 【▲ 図1: 中性子星同士の合体の瞬間の想像図。中性子星同士の合体は、極端な超高温・超高圧状態を生じ、重い元素の供給源となっていると推定されている(Credit: Robin Dienel/Carnegie Institution