タグ

ブックマーク / dain.cocolog-nifty.com (3)

  • 少女と記憶とアイデンティティ・クライシス「少年は荒野をめざす」

    あらゆる少女マニアにオススメ。 いわゆる澁澤的「少女マニア」を脱し、今度は父としての立場から娘を育てている。ピンで止めてガラスケースに陳列するのではなく、生きて動いて大きくなる存在だ。もう幼児ではない娘を見ていると、記憶の彼方の少女を探すのか、それとも未だ見ぬ「少女」をシミュレートすべきか、分からなくなる。 そういうわたしにとって、「少女とはどんな存在か」を見える物語で示してくれる吉野朔実はありがたい。これが野郎になると、耽美とか処女性とか象徴的な語りに陥ってしまう。少女とは「女の子ども」や「処女の娘」で囲い込める存在ではない。 もっと端的に言うなら、「少女」とは欠けた存在だ。その欠片は、世間体(親も含む)を繕うための外聞だったり、自身を安定し充足させるための何か―――才能の発露や生活基盤、"わたし"という確固たる存在そのもの―――が相当する。だから「少女」は生き難い。自分とは何か?をつか

    少女と記憶とアイデンティティ・クライシス「少年は荒野をめざす」
  • 「ヴァギナ」はスゴ本 【全年齢推奨】

    知ってるつもりのヴァギナが、まるで違ったものに見えてくる。 のっけからのけぞる。モザイクかかっているものの、ヴァギナそのものが誇らしげに表紙に掲げている(遠目だとちゃんと認識できる)。表紙だけでなく、子を産むヴァギナや、常態のヴァギナなど、普通では見られない写真や図版も豊富にある。写真だけでなく、科学や宗教、歴史、神話と伝承に、文学と言語、人類学、芸術の幅広い資料から徹底的に調べ上げている。 そして、偏見と妄想をとっぱらったヴァギナを多角的・広角的に紹介する。同時に、ヴァギナに対する文化的・科学的バイアスを指し示すことで、どれだけ歪んだヴァギナ・イメージに染まっているかをあぶりだす仕掛けになっている。これを読むことで、男女問わずヴァギナ観がガラリと変わることを請合う。 まず、神話や伝承、民俗学では、恐れ敬われ、魔よけともなる力強い姿が紹介される。さまざまな神話や伝承が示す、着衣をまくりあげ

    「ヴァギナ」はスゴ本 【全年齢推奨】
  • 読書の夏で20冊、夏をテーマに選んでみた

    爽やかな田舎の風景だとか、ひと夏の恋や冒険、心胆凍る恐怖夜話など、夏を感じる、夏を味わう作品を選んだ。読むとアツくなるやつも混ざっているのでご注意を。 まず、夏といえば夏休み。だから「よつばと!」(あずまきよひこ)。学生じゃない身分になって幾年月。子どもが、「もうすぐ夏休みだー」などと指折り数えていると、「チッ」と舌打ちのひとつもしたくなるもの。あれだけ沢山の入道雲を眺め、あれだけ沢山のセミとりをしたにもかかわらず、キラキラとした思い出は欠片ぐらいしか残っていない。それを1000倍ぐらい拡大したのがこれ。天真爛漫の「よつば」が、周りを巻き込む無茶ぶりに、文字どおりハラ抱えて笑う。と同時に、帯のキャッチコピー「いつでも今日が、いちばん楽しい日」が胸をアツくする。夏休みを生きなおすような気分になる傑作。 次に、夏といえば観鈴ちん(異論却下)。だから「Air」(桂遊生丸)。ゲームのみならず、TV

    読書の夏で20冊、夏をテーマに選んでみた
  • 1