Vol.6 2011.9 東京大学法科大学院ローレビュー 207 Ⅰ.はじめに インターネットの普及とデジタル化の進展 によって,名誉・プライヴァシーに関する伝 統的な法理は,様々な角度から再検討を迫ら れている。本稿では,報道の自由と人格権の 調整という古典的論点の変容について,従来 の法理を参考に,今後どのような対応がマス メディアに求められるのか,考えてみること にしたい。 日本新聞協会の「新聞・通信社の電子・電 波 メ デ ィ ア 現 況 調 査 」 (2011) に よ る と, 2010 年には有料の電子新聞サービスが本格 的に開始されるとともに,新聞協会加盟新 聞・通信 110 社のうち 34 社が,ウェブ上で 配信している記事にソーシャルブックマーク を付す, 「つぶやく」 (twitter) , 「いいね!」 (facebook)ボタンによって記事を共有する 等,ソーシャ