2011年02月26日 犯罪被害者に適正な処罰を請求する権利はあるか? (7) カテゴリ:事件・裁判から法制度を考える 福岡の飲酒運転死亡事故で、被告人に水を与えた人物に対して、「適正で迅速な刑罰の実現を期待する権利や、重要な事実を知る権利が侵害された」としての賠償請求が否定された、とのこと。 とろろ氏の好きそうな話題でもあるので、少し触れてみましょう。 犯罪被害者に適正な処罰の請求権はない、というのは少なくとも現行法を前提にする限りにおいて、動きそうにない判例実務学説でしょう。適正処罰請求権について論じたことのある弁護士も、それは認める所です(こちら参照)。 犯罪者に対する処分が不適正になされたとしても、犯罪被害者が自己の利益を侵害された、と言ってその原因となった人物を不法行為で訴える、などということはできない訳ですね。因みに、弁護士の懲戒請求などにもこの理屈は当てはまるとされています。