金融庁では記者会見が「分裂」した 官庁の記者会見を記者クラブ以外にも開放する問題は、鳩山首相が約束したにもかかわらず、その後も首相官邸では行なわれていない。他方、岡田外相は会見を開放し、亀井郵政・金融担当相も記者クラブを「封建的だ」と批判して開放を要求した。しかし記者クラブ(財政研究会)が「運営に支障が出る」として拒否したため、記者クラブ向けと一般向けの2回、会見を行なう異例の事態となった。この会見は13日、ニコニコ動画などで生中継された。 しかし、そもそも記者クラブが会見を「主催」する権利があるのだろうか。金融庁の庁舎は国有財産であり、これを管理するのは金融庁である。記者クラブは、ここに電気代も電話代も払わないで出入りしている任意団体にすぎない。こうした何の権利もない「居候」が官庁の部屋を独占して他社を排除するのは違法行為だ。本来は官庁が会見を主催し、参加資格も決めるべきなのを、記者クラ
愛知県豊川市の信用金庫で立てこもり事件が発生した。愛知県警の捜査員が支店に突入し、事件は一件落着したが、違和感も覚えた。それは、なぜこの事件が“報道協定”の扱いにならなかったのかということだ。 相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール 1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『震える牛』(小学館)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩
読売新聞記者の取材メモ誤送信と、それに続く誤報は、権力監視の役割の自覚が希薄になったマスメディア、報道機関、ジャーナリズムだけでなく、筆者を含めた世の取材記者すべてへの警鐘である。 読売新聞記者が7月20日、福岡県警警部補の贈収賄事件に関して県警監察官とみられる捜査関係者から取材したメモを、誤って司法記者会加盟報道13社の記者にメール送信し、取材源と取材内容を流出させた。その後、取材メモの内容とは関係はないものの、同紙は一連報道のなかで、「工藤会側に県警内部文書」(7月22日付朝刊。一部地域は23日付)とする"スクープ"記事を1面トップで掲載したが、これはが事実ではない誤報だったことがわかった。福岡の調査報道サイト「HUNTER」の報道(8月1日付)から明らかになった。同サイトが報じなければ、取材メモの誤送信が明らかにならなかった可能性は高い。 読売新聞西部本社は8月14日付朝刊で、検証記
情報開示に格差はないはずのなのに、記者クラブ以外は取材できない――。2012年春から北海道西部の泊原子力発電所でのプルサーマル発電を計画している北海道電力は、株主総会や社長記者会見などの取材を記者クラブ加盟者にしか認めていない。メディアによって対応窓口を変え、その”ルール”を破った取材者には容赦なく退席を命じる。電力各社の株主総会が集中した2011年6月下旬、同社の徹底した「情報統制」のあり方が浮き彫りになる一幕があった。(小笠原淳) 6月29日午前、北海道電力(札幌市中央区、佐藤佳孝社長)が札幌市内の東京ドームホテル札幌で定時株主総会を開いた。福島第一原発の放射能漏洩事故を受け、会場付近では市民団体が「泊原発を止めよう!」などと書かれた横断幕を掲出、「沈黙のアピール」と銘打った抗議行動を展開した。「311net」メンバーの泉かおりさん(54)は「福島のような事故は、北海道の泊原子力発電所
4月6日に自由報道協会代表の上杉隆氏が記者会見を行った。3月11日からあまりにもすごいスピードで様々な報道がされ、状況も大きく変わっていく中、ひと月前の会見の内容ではあるが、振り返って検証する価値があると思い会見の内容の全文を掲載します。 今では国民が認識している『福島第一原発炉心"溶融"事故』に関して当時、政府と東電がどのようにメディアをコントロールしようとしたのか、またフリーの記者との情報公開を巡る攻防戦がどのようにあったのかを今一度確認しておきたい。そしてその大半が現在も何も変わっていない事を思い知らされる。 民主主義が成立するための最も重要な条件として「情報公開」がある。情報公開がされていない状況で選挙をやったらどうなるのか。たんに情報が公開されていないならまだしも、情報が意図的に国民を欺くために操作されて公開されていたとしたら当然ながら賢明な有権者の判断も間違うのは当たり前だろう
『公の記者会見オープン化』という難題に立ち向かうフリーライター畠山理仁さんに”公の情報共有”についてきいてます。今回は第6回目です。 ※連載シリーズ『シェアな生活〜共有・共感・共生がもたらす新しいライフスタイル』関連記事です。 登場人物: 畠山=畠山理仁(はたけやまみちよし)。記者会見オープン化を求める活動で注目されるフリーライター。 深水=深水英一郎(ふかみえいいちろう)、ガジェット通信。 ●政治家はアンチの人達がいるところへ敢えて突っ込んで話をきいて来て欲しい畠山:実際の会見でも質問の取りまとめってけっこう大変だと思うんですよね。今の記者クラブの会見でも、幹事社が何本かまとめて質問してっていうことをやってます。それは時間節約のためなんですけど。 ――深水:実際、限られた時間の中で何本も質問できないですよね。畠山:どっからどんな質問が飛んでくるかわかんないっていうところに政治家が一人で立
『公の記者会見オープン化』という難題に立ち向かうフリーライター畠山理仁さんに”公の情報共有”についてきいてます。今回は第5回目です。 ※連載シリーズ『シェアな生活〜共有・共感・共生がもたらす新しいライフスタイル』関連記事です。 登場人物: 畠山=畠山理仁(はたけやまみちよし)。記者会見オープン化を求める活動で注目されるフリーライター。 深水=深水英一郎(ふかみえいいちろう)、ガジェット通信。 ●政治家はネットに魅力を感じている――深水:そもそも記者クラブが政治の側から「記者会見をオープンにしてください」と言われるって、変ですよね。 畠山:恥ずかしいことですよね。政治の側がやめてと言ってるわけではないのに、記者クラブの側が入れないとかいうのは非常におかしい。記者クラブだけの閉鎖された空間で限られた人たちに向けて話をしていると、その人たちに都合のいいように編集されてしまう。そして報じられなかっ
『公の記者会見オープン化』という難題に立ち向かうフリーライター畠山理仁さんに”公の情報共有”についてきいてます。今回で第4回目です。 ※連載シリーズ『シェアな生活〜共有・共感・共生がもたらす新しいライフスタイル』関連記事です。 登場人物: 畠山=畠山理仁(はたけやまみちよし)。記者会見オープン化を求める活動で注目されるフリーライター。 深水=深水英一郎(ふかみえいいちろう)、ガジェット通信。 ●リアルで記者会見に参加する意味――深水:たとえば、記者会見については行かずともある程度中身はわかるじゃないですか。議事録もあるし、最近はビデオを出しているところもある。 畠山:出しているのは外務省と官邸とかですかね。総務省はやってないんですよね。まあ、『ニコ動』とかで見れますけど。――深水:実際に記者会見に行くことによる利点って何でしょうか。 畠山:僕の場合、記者会見には質問をしに行くんですよね。あ
『公の記者会見オープン化』という難題に立ち向かうフリーライター畠山理仁さんに”公の情報共有”についてきいてます。今回で第3回目です。 ※連載シリーズ『シェアな生活〜共有・共感・共生がもたらす新しいライフスタイル』関連記事です。 登場人物: 畠山=畠山理仁(はたけやまみちよし)。記者会見オープン化を求める活動で注目されるフリーライター。 深水=深水英一郎(ふかみえいいちろう)、ガジェット通信。 ●記者クラブって強いの?――深水:選挙の立候補者の扱いの重さを記者クラブ内で取り決めている、というお話なんですけども、それが本当なら記者クラブ自体が権力化しているということですよね。結局、メディアでどう扱われるかで選挙にもろに影響してしまう。結果まで決めちゃう可能性がある。 畠山:そうですね。最初に選別してますからね。――深水:そこらへんに問題を感じて記者クラブに興味を持った? 畠山:うーん、問題だと
省庁記者会見オープン化についての活動を繰り広げるフリーライター畠山理仁さんに”公の情報共有”についてきく。第2回目です。登場人物: 畠山=畠山理仁(はたけやまみちよし)。記者会見オープン化を求める活動で注目されるフリーライター。 深水=深水英一郎(ふかみえいいちろう)、ガジェット通信。 ●理想の記者会見――深水:畠山さんの理想の記者会見ってどのようなどのような形ですか? 畠山:基本は質問したいと思う人が全員入れる記者会見ですね。――深水:全員ってどこまでですか? 畠山:ブロガーだっていいと思いますよ、僕は。――深水:その日たまたま聞きたいことがあった人が、行って話をきけるぐらいの? 畠山:聞きたいことがあったおっちゃんとかでも、僕はいいと思いますけどね。セキュリティの問題があるなら、「申し訳ないけど手ぶらで入ってくれ」とか。「ここから動かないでくれ」とかルールを決めればいい。――深水:ちゃ
マスコミのつくった利権団体『記者クラブ』が公の情報発信を阻害している。また、省庁によっては大臣そのものが記者会見オープン化に消極的な場合もある。それらに戦いを挑んでいるのが畠山さんだ。公の情報は原則すべてオープンにされるべきものであるにもかかわらず、なぜオープン化されないのだろうか。実は最近ガジェット通信で連載している「規制」の話と同じ”公式”がここにも当てはまる。「利権団体とお代官様(権力者)が手を結んで、自由なやりとりに圧力をかける」という図式。もちろん、「利権団体=マスコミがつくったカルテルである記者クラブ」であり「お代官様=政治家」である。単純にいうと、マスコミは情報を独占すればするほど得をするビジネスであり、会見が閉鎖的であればあるほど喜ばしい。そして現状、政治家にとってはマスコミに喜んでもらった方がメリットがある、というだけの話。もちろん、政治家にとってのメリットとは「票」であ
『公の記者会見オープン化』という難題に立ち向かうフリーライター畠山理仁さんに”公の情報共有”についてきくインタビューシリーズ。今回は第7回目、最終回です。 登場人物: 畠山=畠山理仁(はたけやまみちよし)。記者会見オープン化を求める活動で注目されるフリーライター。 深水=深水英一郎(ふかみえいいちろう)、ガジェット通信。 ●なんで記者クラブは公共のスペースを専有してるんだろう? ――深水:以前、総務省会見に行ったんですけど、フリーの人って会見場の小さいイスに座って会見が始まるのを待ってますよね。かたや記者クラブに所属している媒体の人達は、広々とした控え室があり、机や椅子を使えるそうじゃないですか。控え室は「クラブ員以外立ち入り禁止」ということになってますが、よく考えるとそれってどういうことなんだろうと。公共の場なんだから、会見に参加したい人達が共有すべきスペースなんじゃないかなと、素朴な疑
株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方
Resolve Business Issues By Getting a Virtual or Serviced Workplace Are you planning to set up your own business, but are afraid of experiencing problems in the start that most businesses go through? Do you want an effective and simple solution to all these problems? If you answered these questions with a yes, then you need to start leaning towards the idea of getting a virtual or a serviced workpl
さすがに「密行主義」と言われるだけの法務省である。今日の午前、東京拘置所の刑場が「一部公開」された。何度問い合わせても回答のないフリーランスや海外メディアには黙って、「縛り」のきく記者クラブだけを対象として、「抜き打ち記者クラブ限定取材」をさせたのだ。スチールとムービーカメラは1台づつの代表取材だったようで、撮影は法務省の許可する範囲で行なわれた。 外の見えない黒テープで窓を覆われたマイクロバスで刑場に案内された21人の記者たちは、まず「教誨室」に通されたという。私たち、衆議院法務委員会は03年、07年と2回にわたって東京拘置所の「刑場」を見ているが、一度も案内されたことのない場所だ。そして、死刑囚が拘置所長から「死刑執行命令」を宣告される控室(前室と呼ぶらしい)から、刑壇(下に落下していく踏み板がある)の部屋にも入り、ボタン3つの写真も撮影されている。少し前まで法務省は、ガラスで隔てられ
今年の初めごろ、「事件報道の量的抑制が必要だ」という拙文を自身のブログに書き、それをThe Journal にも転載してもらったことがある。また、少し前には小欄の「事件原稿の書き方を変えよ」の (1) (2) においても、日本の事件報道が、いかに非常に古くさいか、社会の要請に合致していないかを簡単に記した。(繰り返しになるが)私に言わせれば、日本の事件報道が古くさいのは、【1】記者の配置=警察・検察記者クラブへの人員の過剰配置【2】記者の目線=捜査当局と二人三脚になった犯人捜し・容疑者バッシング【3】原稿の書き方=本来は明示すべき捜査側の情報源を曖昧模糊とした「関係者」と記す慣習がある という3つの問題を放置してきたことに原因がある。 このうち、【1】の「記者の配置」は、事件報道にとどまらず、いまの報道全体に共通する大きな問題を孕んでいる。 日本の新聞社やテレビ局、通信社では、外勤の取材記
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