3月から4月にかけて、フランスでは主に大学生および若年労働者層によるストライキや抗議デモが大規模に発生した。理由は、「初期雇用契約制度(CPE)」の実施に対する反発だ。 CPEは、26歳未満の雇用について2年間の試用期間を設け、この間は理由なしの解雇も可能とするものだ。若年者や大学生にとっては、一旦就職できたとしても、2年後には簡単に解雇されてしまう危険を負うことになるため、これに反対するのは無理も無いと思えないでもない。しかし、CPEを導入しようとする政府側の意図は、若年者の雇用を促進するところにあったのだから一筋縄ではいかない。政府側は、解雇が容易にできれば、企業は積極的に若年者を採用するようになり、若年者の失業率は低下するはずだと主張したが、若年者側は、雇用の不安定化につながる故に反対だというわけだ。既に雇用関係にある者の利益を重視するか、これから雇用関係に入ろうとする者の機会を拡大