誰もが生き延びるため必死だった、終戦直後の日本。人々が貧しさにあえぐ一方、国内に進駐する米国軍人たちは、豊かな暮らしを営んでいました。横浜の米国人宅で「メイド」として働く少女は、ある日街中で、米兵からチョコレートを受け取る子どもたちを見かけるのですが……。混沌(こんとん)とした時代を象徴する、一人の女性の実体験について、漫画家・岸田ましかさん(ツイッター・@mashika_k)が描きます。 「敵国人」と築いた親密な関係 主人公のユキエは、終戦直後の横浜で暮らす17歳の少女です。両親と弟・妹の5人暮らし。唯一の兄は戦時中、出征先のシベリアで亡くなってしまいました。実家が貧しく、小学生の頃から学業の傍ら電機店で働き、家計を支えています。 戦争が終わってから間もなく、彼女の人生に転機が訪れます。とあるきっかけから、横浜に住む米軍家族に、「メイド」として雇われることになったのです。 本牧地域の民家