被害にあった古民家に残されていた古文書など、国や自治体の文化財指定を受けていない「無名の文化財」の救出活動が続いている。 熊本県益城町の「益城保管庫」を訪ねた。県の要請で昨年7月に始まった文化財レスキュー事業で、町内外の倒壊家屋から運び出された文化財が集められている。古い木箱に収められた古文書やびょうぶ、陶器、民具があった。 県文化課によると、九州内外の文化財担当者や学芸員ら延べ約800人が熊本入りし、壊れた旧家や蔵から約6200点を救い出した。救出した文化財は益城町のほか、宇城市と八代市の保管庫に収めている。 同事業は、県が1998年にまとめた文化財リストを基に進められた。約2千件が記録され、初動段階で大いに役立ったが、リストが古いという難点もあった。自治体が把握していなかった文化財も多く見つかり、中には熊本藩の御用絵師が手掛けたとみられるびょうぶもあった。「将来、熊本の指定文化財になる