地域デザインを取り巻く環境 第1回目の連載「図書館におけるデザインとは何か?」でも書いたとおり、際限なく広がっていくようにみえるデザインの領域は、産業化の流れによって定義づけされた、デザインする対象の違いによる区分であった。これから書く「地域デザイン」は、それらの産業構造による区分とは少し違う。「地域デザイン」という言葉は近年、耳にすることが多くなったが、その言葉自体はかなり古くからあった。 CiNiiで「地域デザイン」「出版年:古い順」で検索すると、『地域デザイン論』(山岸政雄)という1987年の論文が出てくる。この論文(オープンアクセス)を読んでみると、都市景観やまちなみとしての造形という観点から「地域デザイン」という言葉が使われている。この時点での「地域デザイン」はあくまでも地域における「都市デザイン」「建築デザイン」に限定したものを対象としており、それは我々がいま地域デザインという