「俺は今まで何をやってきたんだ。Mg(マグネシウム)合金が冷間プレスできるなんて…」。マグネをずっとやってきた人、特に難しい温間プレスに挑んできた人には衝撃の事実だろう。 産業技術総合研究所は、日立金属、京都大学と共同で、汎用マグネシウムを冷間プレスする技術を開発した。日立金属は幅300mm、厚さ0.5mmのサンプル品を各メーカーに供給し始めた。今ごろ、日本中のプレスの現場で、ああでもない、こうでもないと、この材料をいじくり回していることだろう。 マグネはそもそも冷間プレスできないものだった。結晶が妙な構造をしているためだ。250℃まで暖めて、その構造を変えてからでないとプレスできない。このため温間プレスという、面倒な造り方をしていた。ヒータだの、センサだの、断熱材だのを金型に取り付けて細かく制御しながらプレスする。だから、マグネの製品は鋳造品や鍛造品が多く、プレス品は少ない。安く造りたい