「あんな所に図書館を置く必要はない」 昨年6月、大阪市の橋下徹市長は、同市北区の府立中之島図書館を廃止し商業施設に改装する構想を明らかにした。目を付けたのは、国の重要文化財に指定されている1904(明治37)年完成の建物と、東京でいえば大手町や丸の内に当たる好立地だ。 市民や有識者は「単なる思いつきだ」と反対し、11月には「明日の中之島図書館を考える会」を発足させた。 同館の来館者数は年間31万人と決して少なくない。神奈川県立図書館の23万人、県立川崎図書館の20万人を上回る。県立川崎と同様、都心部の立地を踏まえ、企業活動に役立つ資料を提供するビジネス支援にも定評がある。 それでも…。「無料で利用できる図書館は、もうからない施設という意識があるのだろう」と同会代表世話人の稲垣房子さんは推測する。 廃止論が持ち上がったのは「府市統合」の会議の場だった。図書館が「二重行政批判」の矢面