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ブックマーク / satoshi.blogs.com (52)

  • 読者への公開質問:なぜソニーはアップルになれなかったのか?

    私も交換書簡およびアプリの開発を担当している、梅田望夫さんの「iPadがやってきたから、もう一度ウェブの話をしよう」、電子書籍ならではの目玉は、発売後に読者からいただいた質問に私と梅田さんが答えるという「増える交換書簡」。 すでに二つの質問に対する回答がアップロードされているが、これからも順次答えて行く予定なので、質問の方、よろしくお願いする。 興味深いのは、最初の二つの質問がどちらもソニーに関するものであること。「なぜソニーがアップルになれなかったのか?」「ソニーとグーグルの提携に未来はあるのか?」。 株価総額でもあっさりとアップルに抜かれ、ここのところいまいち元気のないソニーだが、「もし日のメーカーでアップルに対抗することができる企業があるとしたら、それはソニーだろう」という多くの人の期待を込めた質問なのだろうと解釈している。 私の回答は交換書簡を見ていただくとして、逆に私からこのブ

  • ビル・ゲイツの引退と「ソフトウェア・ビジネスの興亡」と

    シアトルでの先週の一番の話題は、やはりビル・ゲイツの引退。すでに一年前から予告されてたと言え、シアトルの経済発展にこれだけ貢献したマイクロソフトを作った男だけに、メディアは大騒ぎだ。 ビル・ゲイツが成し遂げたことの偉大さを最も顕著に表すのは、「Fortune Favors the Bold(邦題:知識資主義←とても良いビジネス書なので一読をお薦めする)」の中の次の一文。 Bill Gates stands as the symbol of this new era. For all of human history the richest person in the world has owned natural resources - land, gold, oil. Bill Gates owns no land, no gold, and no oil. Owning neithe

  • Life is beautiful: 自分で考える前にググっていませんか?

    つい先日、興味深い話を聞いた。ある大学の授業で「デジタル・コンテンツ・ビジネス」というテーマで小論文を宿題として書かせたところ、同じような内容の小論文ばかりが集まったという。その原因を調べたところ、「デジタル コンテンツ ビジネス」のキーワードでググると上位に来る私の過去のエントリーの内容がほぼ丸写しにされていたという。 日の学生の勉強に対する態度なんてそんなものなのかも知れないが(それはそれで憂うべき話だがその話は別の機会に)、少し心配になるのがどんな気持ちでその手の「コピペ」をしているのか、という点である。確信犯的に「徹底的に手を抜きたいからコピペしているだけ」ならまだ許せる。私が問題視するのは「自分で考える前にまずググる」習慣であり、「ググれば答えが見つかるにちがいない」という錯覚である。 暗黒時代とも呼ばれる中世ヨーロッパで科学の進歩があんなにも長い間低迷した原因の一つは、あの時

  • WSJからiPhoneに関して取材を受けた

    Wall Street Journalの記者からiPhone向けのアプリの開発に関しての取材を受けた。来週のWWDCに向けた下準備らしく、全文がWSJに乗ることはまずないので、私なりにインタビュー記事を起こしてみた。 WSJ:なぜiPhone向けのアプリを作っているのか? 私:OS+開発環境という意味で他のモバイルプラットフォームより圧倒的に優れているから。私は、Windows Mobile、BREW、Symbian、J2ME/MIDP、J2ME/DojaなどのさまざまなモバイルOS/VMの開発に関わって来たが、iPhoneの開発環境ほど開発効率の良いプラットフォームに出会ったことはない。 WSJ:開発環境に関してはMicrosoftがマーケットのリーダーだと思っていたが 私:Visual Studioはすばらしい開発環境だが、モバイルに限って話で言えば、Xcode上でiPhoneアプリ

  • ソフトバンクのiPhoneについてひとことふたこと

    この度、ソフトバンクモバイル株式会社は、今年中に日国内において「iPhone」を発売することにつきまして、アップル社と契約を締結したことを発表いたします。【「iPhone」について | ソフトバンクモバイル株式会社より引用】 プレスリリースのこの短さは予想外。Appleからこれ以上のことは何も言ってはいけないと言われたのか これがAppleからではなく、ソフトバンクからアナウンスされたのは異例中の異例 「独占的に」と言っていないということは、Appleが独占権をソフトバンクに与えなかったということ たぶんまだドコモとの交渉は水面下で続いているのだろう ということで、作っているiPhoneアプリの日語化もそろそろちゃんと始めなければならない。忙しくなって来たぞ、と。

  • iPhoneがなぜそれほどまでに「革命的」なのか

    iPhoneに関しては、まだ誤解している人も多いようなので、念のために解説しておくと、iPhoneがこれほどまでに通信業界で注目されているのは、マルチタッチのUIを採用しているからでも、NextStepの血を引く最先端のiPhoneOSを積んでいるからでもない。NTTドコモなどの旧来型の通信キャリアからみれば「単なるデバイスの調達先」でしかなかったデバイスメーカーがキャリアのビジネスに口も手も出している点にある。 私がAppleとAT&Tの提携発表で一番驚かされたのは、その料金体系であった。パソコン並にネットワークを使うiPhone向けの使い放題プラン(日の「パケ放題」に相当する部分、ただし容量制限は一切ない)が月々わずか20ドルというのは、当に破壊的な価格である。この価格故にiPhoneは非常に魅力的なデバイスとなっているし、これだけ普及している。もちろん、それを実現するためにAT&

  • プラットフォームを選ぶということ

    この業界で仕事をしていると、しばしば迫られるのが「どのプラットフォームに向けて商品開発をして行くのか」という決断。会社としての経営判断の場合もあれば、個人のスキルアップやキャリアパスのための判断の場合もあるが、いずれにしろ限られたリソース・時間をいかに有効に使うか、という点ではとても大切。 パソコン用のソフトウェアであれば、「Windows向けに作るのかMac向けに作るのか」というOSレベルでの選択肢もあるし、「Windows Vista独自の機能を使って差別化を図るのか、それともWindows XPでもちゃんと動くように作ってまずは大きな市場をとりに行くのか」というOSのバージョンレベルでの選択肢もある。もちろん「そもそも特定のOS向けのアプリを作るべきか、それとも、すべてウェブ・アプリケーションとして作るか」というアーキテクチャ・レベルでの選択肢もある。 「少なくともここ数ヶ月はiPh

  • にわかに騒がしくなって来たMicrosoftによるYahooの買収話

    Wall Street Journalのニュース速報サービスに加入している私だが、今日の午後になってにわかにYahoo!関連の速報が入り始めた。時間軸にそって並べるとこんな感じ。 12:14「YahooGoogleのサーチサービスを再び使う可能性についてGoogleと交渉している」という情報が流れる。Googleとがっちり提携してしまえば、Googleとは死んでも組みたくないMicrosoftにとってYahoo!を買収することが難しくなるからだろう、との憶測付き。 17:48「Yahoo!がAOLとインターネットビジネスを統合する交渉を進めている」という情報が流れる。Microsoftからのプレミアム付きの買収を蹴った経営陣としては、それよりも株主にとって魅力的な戦略を打ち出さない限り、株主から訴えられる可能性もある。AOLとの統合はその答えの一つだ、というもの。 19:01「Micro

  • ソニーの「イノベーションのジレンマ」について一言

    私の書物「おもてなしの経営学」についてのさまざまなフィードバックはポジティブなものもネガティブなものもとても良い勉強になるので全部読ませていただいているつもりだが、以下の二つに関しては、少し誤解があるようなので一言書いておこうと思う。 何故SONYの経営はiPodを創れなかったか - 雑種路線でいこう 「おもてなしの経営学」:ソニーのエンジニアの名誉のために一言 ([の] のまのしわざ) 私ののごく一部、それも梅田氏とのの対談における「ギークとスーツ」の話題の前フリとして「ギークとスーツのすれちがい」「技術と経営の両方が分かる人が少ない」ことの例として語った言葉だけを取り上げて、あたかも私が「ソニーにiPod+iTunes+iTunes storeが作れなかったのはエンジニアが悪い」と決めつけているかのように誤解をされてしまっているのが私としてはとても残念。 せっかく私のを読んでいただ

  • ジョブズの目標はWal-martを抜いて業界一位になるなんて低いところにはない

    「BSやCSができたときや、キャプテンシステムや音声多重放送など、新メディアが出てくるたび、『クリエイターの仕事が増えて引く手あまたになると言われたが、過去1回も、そんな経験はない」(堀さん)...堀さんは「コンテンツのデフレスパイラルが起きている」と指摘する。「例えばテレビの場合、設備投資が増した分、制作費が落ち、番組は横並びになる。しかしスポンサーは数字(視聴率)を求めるから、“分かりにくい番組”が淘汰される。分かりやすく作るからつまらなくなる」【「日のコンテンツ、ネットのせいで沈む」とホリプロ社長 (1/2) - ITmedia Newsより引用】 堀さんの言っていることはとても良く理解出来る。ネットに限らず、コンテンツの流通チャネル(メディアと呼んでも良い)が増えると、チャネルごとの絶対量が減るために、従来型の数で稼ぐ広告ビジネスがなりたたなくなるのだ。 「巨人・大鵬・卵焼き」と

  • 原点に戻って徹底的に納得するまで理解する

    学ぶ時には「原典」に当たる たとえば、PerlであればCGIとかではなく、ラクダに当たる、というのがこれの意味するところです。もちろんCならK&R。なぜ原典でなければならないか。それは、原典には、その言語の設計者の意図が書かれているからです。それで、その言語は何が得意で何が不得意なのかもわかる。結果的に易しく「こうやれば出来る」が書いたよりも、「こういう人向けに作りました」がわかる原典の方が優しいのです。 【404 Blog Not Found:私の言語遅延学習法 - 三つのルール+1より引用】 これを読んで思い出したのが、学生時代に勉強に関して思ったこと。公式とか法則とかをを覚えるのが不得意だった上に、「これはこういう決まりだから覚えておきなさい」と先生から頭ごなしに言われるのが嫌いだった私は、一度理解しようとしたことは自分が納得できるまで(つまり、自分で公式や法則を導けるようにな

  • Life is beautiful: Microsoft/Yahoo:買収はたぶん成功するだろうけど、問題はそれからだ

    今回のMicrosoftによるYahooの買収のオファー。ウェブの世界ではどうしてもGoogleに勝つことができないMicrosoftとしては、Yahooのビジネスはのどから手が出るほど欲しい存在。Googleに追い越され、成長に陰りが見え始めた結果株価が安くなったYahooは今がお買い得。WindowsとOfficeというドル箱を抱えながらも、そのドル箱が稼ぎだす莫大な現金をどこに投資すべきかがいまいち見いだせてないMicrosoftとしては、Yahooを買うことによりその価値を買収価格より高くする、というストーリーは説得力がある。 一方、Yahooの株主にとってみればこれは朗報。ずるずると下がり続けていた株に対してこれだけのプレミアムを付けてもらえば喜んで売るのが大半の株主。 少し悩ましい立場にいるのが、Yahooの現行の経営陣。株主利益を最大にするのが役割の経営陣とすれば、このプレミ

  • 通信のコモディティ化を押し進めるGoogle

    先日、梅田望夫さんと対談(月刊アスキーに掲載予定)したときに、「なぜGoogleは通信インフラにまで投資をするのか理解しがたい」という話題が出たが、その一つの答えがこれ。 After a couple rounds of stalled bidding, the C Block's provisionally winning bid is now at $4.7 billion, about $100 million over the reserve price that the FCC set for the block of spectrum. Since the reserve price was met, the FCC will not have to re-auction the block and its special rules: open access for any

  • 予想外に早く収穫期を迎えたXBox360

    マイクロソフト コーポレーション(Microsoft Corporation、社:米国ワシントン州レドモンド)は、米国時間1月24日(木)、2008年度第2四半期(2007年12月31日締め)の売上高、営業利益ならびに一株あたり希薄化後利益が、それぞれ163億7,000万米ドル、64億8,000万米ドルならびに0.5米ドルであったことを発表しました。これらの数字は、2008年度第2四半期の売上高、営業利益ならびに一株あたり希薄化後利益が前年同期実績に対して、それぞれ30%、87%ならびに92%増加したことを示す記録的なものです。【マイクロソフト、2008年度第2四半期の決算を発表、記録的な業績を達成より引用】 マイクロソフトが記録的な2008年度第2四半期の決算を発表したばかりだが、ここでもっとも注目すべきなのは、XBox360やZuneを売る"Entertainment and Dev

  • 夏野氏の本音とドコモの縦割り行政と

    CNetのインタビューは、夏野氏の音が見えるなかなか良いインタビュー(永井さんNice Job!)。 ドコモから出てくるにしろ、ソフトバンクモバイルから出てくるにしろ、サービスは変わらないと思いますよ、Apple(が開発する端末)だから。そうなると後は経済条件だけじゃないでしょうか。個人的には、僕の味付けができないからそんなに興味はないですね。少なくとも今のiPhoneでは携帯電話回線を使って自由にアプリをダウンロードするといったことはできないですから。【ドコモ夏野氏に訊く:「iPhone」「ディズニー」「Google検索精度」をどう思う?:モバイルチャンネル - CNET Japanより引用】 この発言は、ドコモの内部事情をある程度知っている人たちにとってはものすごく微妙な発言である。 内部事情とは、ドコモの縦割り行政ゆえに、時々外に見えてしまう自己矛盾。iモードを立ち上げ、ドコモ内部

  • MacWorld: AppleはApple TVでキャズムを超えることができるか?

    今回のMacWorldの発表で、個人的に一番うれしかったのはApple TVのアップグレード。去年の発売と同時に買い求めたものの、映画のトレーラーを見る以外にあまり役に立っていなかったApple TVが、今回のアップグレードで息を吹き返す。 特にうれしいのは、これが純粋なソフトウェア・アップグレードであること。新しいハードを買えと言われたら頭に来ていたところだ。 しかし、今回のアップグレードとiTune Storeからの映画のレンタルを組み合わせると、Netflixのサブスクリプションを辞めても良いのではないかと思えてしまう。もちろん、ラインナップしだいでもある訳で、しばらく使ってみないと分からないが、HDの映画まで借りられるところが強い魅力。 「インターネットを介した映画配信が、DVDなどの物理媒体にいつかは取って代わる」ことは火を見るよりもあきらかだが、それがいつになるかを予想するのは

  • Life is beautiful: アップルは「音楽制空権」を取りにくるのか?

    少し前に「スタバとアップルの提携が見せてくれるメディアビジネスの提携」というエントリーを書いてから、「私がアップル内部にいたとしたら、次はどんな戦略を採るか」を色々と考えて来たのだが、私の答えは「音楽制空権」の制覇。 スタバに限らず、今はホテル・レストラン・小売店・ショッピングセンターなどさまざまな場所で音楽がどこからともなく聞こえて来るが、その時にiPhone/iPod touchを取り出せばそこで流れている曲が何かを知ることが出来、購入も出来たとしたら、どんなに便利だろう。映画を見た後に、その場でテーマ・ミュージックを購入できるとしたら、どんなに便利だろう。これを文字通り「あらゆる場所」で実現してしまうことが、「音楽制空権」の制覇だ。 数年前ならSFの世界のような話だが、ブロードバンドがコモディティ化して来た今の時代ならば十分に可能な話である。日でこれをやるのであれば、組む相手は昔な

    topo-gigio
    topo-gigio 2008/01/14
    ちょっとわくわくするようなことの実現をシンプルに現実にしていくからすごいよな
  • 「リスク・テーカー遺伝子」の歴史

    これは人類が誕生するよりも何百万年も前の話。人類の祖先がサルやネズミに近かった時の話。ネズミのような姿・形・大きさをしながらサルのように木の上に住む原始的な哺乳類を想像していただければ良い。 その種族にある時、突然変異のいたずらで、ちょっと変わった遺伝子を持った子供が生まれた。名前はなかったのだが、それだと不便なので「トム」と呼ぶことにする。 トムが持っていた遺伝子は、トムの姿・体に変化を与えるものではなく、トムの行動に影響を与える遺伝子。種族の他の個体たちがすることに疑問を持ち、彼らがしないことをどうしても試したくなる、という遺伝子だ。「いたずら遺伝子」「反骨遺伝子」と呼んでも良いのだが、ここは「リスク・テーカー遺伝子」と呼ぶことにしよう。 トムは母親に尋ねる。 「ママ、どうしてあの木にある赤い実はべちゃいけないの?」 「毒があるからよ。べるとおなかを壊しちゃうの?」 「ママはべた

  • Youtubeでグラミー賞候補の曲が聴けるのが2008年

    私の最近のお気に入りの曲は、Feistの「1234」(アルバム「The Reminder」の一曲)。iPod nanoの広告で使われているので知ったのだが何とも言えない平和な雰囲気がなんともいえずに良い。 ちなみに、このYoutubeビデオはUniversal Music Groupが公式に出しているもので、著作権法やぶりではない。「そう言えば、Universal Music GroupはYoutubeを訴えていて和解したよな」と調べてみると確かに2006年の10月にパートナーシップを結んでいる。これがそのパートナーシップの成果だ。 結局のところは、コンテンツを提供する企業にしろ、放送局にしろ、「インターネットと戦う」のではなく、こうやって「インターネットを利用する」ところが生き残るのだろう。着メロビジネスの立ち上げには役に立ったJASRACだが、Youtubeやらニコニコ動画の利用の話に

  • 「言論の自由」の大切さに関して一言

    民主党は18歳未満の若年者が犯罪に巻き込まれるのを防ぐため、インターネット上の違法・有害サイトの削除をプロバイダーなどに義務付ける法案の国会提出に向け、党内調整を始めた。自殺勧誘や、児童買春の温床とされる出会い系や児童ポルノなどに簡単にアクセスできないようにする狙い。与党との共同提出も視野に入れており、今月召集の通常国会での成立を目指す。 検討中の法案では、サイト開設者やプロバイダーは違法情報を発見し次第、削除しなくてはならないと規定。違法かどうか明確でなくとも、有害な恐れがある場合は児童が閲覧できなくなるような措置を講じるよう義務付ける。罰則を設けることも視野に入れる。 【NIKKEI NET(日経ネット):主要ニュース−各分野の重要ニュースを掲載より引用】 弾さんも指摘していたが、この民主党の発言は先進国の政党としては許しがたい発言。イギリスやアメリカなら法案どころか、それを臭わす発言