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今、注目のバンドceroのメンバーとして多くの楽曲で作曲、作詞を手がける荒内佑が、<日常>とそこに流れる音楽の話を綴る初めての連載が「webちくま」にてスタート。毎月1回、第4水曜日の更新です。 戦時下における音楽の利用について、検索をかけたら恐らく腐る程テキストが出てくるだろう。実際にぼくが検索窓に打ち込んだのは「イラク戦争 iPod 」「Iraq war iPod」だった。というのも、イーストウッドの映画『アメリカン・スナイパー』のとある場面で、スナイパーの耳元に突っ込まれたイヤフォンがアップル社のものに見えたからだ。実際、映画を見返していないので確認はできていないが検索結果の中で印象的だったものは2つ。まとめサイトのニュース(2007年)「イラクに派兵された米兵が銃撃された時、胸ポケットに入れていたiPodが盾となり命を救った」というもの。もう一つはTIME誌のweb版(2011年)
1956年にシカゴで生まれたサックス奏者のスティーヴ・コールマンが、長年トレードマークのようにベースボールキャップを後ろかぶりにしてステージに立っている理由は分からない。カサンドラ・ウィルソンからヴィジェイ・アイヤーまでを輩出したと言っていいコールマンのキャリアへの高い評価は揺るぎないものがあるが、エスタブリッシュメントされたジャズには背を向けるかのようにキャップを被りパーカーを着た姿を変えようとはしないのは、いまもってヒップホップやストリート・カルチャーに少なからずシンパシーを抱いている証なのであろうか。前回のコラムで彼やグレッグ・オズビーらが進めたM・ベース(M-Base)に少し触れたが、今回は「ジャズを通過したファンク」の続きとして、スティーヴ・コールマンの活動を振り返ってみることにする。ちょうど、スティーヴ・コールマンの素晴らしい新譜『Synovial Joints』もリリースされ
森は生きている、メンバー全員登場の「無人島~俺の10枚」が、めでたく完結したばかりですが、今度はなんとコラムを新連載いたします。 昨年リリースしたデビューアルバム『森は生きている』が、いきなりの大名盤。カントリー, ソフトロック, スワンプ, アンビエント, モンド, エキゾチカ,トロピカル, ジャズ, ブルース, クラシック, アフロなど. . . メンバーの雑多な音楽嗜好に裏付けられたチャンポンミュージックが、老若男女問わず音楽を愛する者の心をがっちり捉えたのも記憶に新しい。そんな彼らが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を発売した。アルバムの発売を祝し、メンバーによるコラム連載がスタート!アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。 『グッド・ナイト』 森は生きている [2014年11月
ツイッターだけにしてしまうと僕が今後ツイートすることでそれは流れてしまうので、気持ちの整理のためにも、きちんと文章にしておこうと思います。2年以上続けたHi-Hi-Whoopeeを脱退したことについです。 まず、生まれてから22年間ずっと住んでいる僕のまちには何も無く、自然などは大変美しいのですが文化的な意味で本当に退屈な場所です。タワレコのような大型の店舗販売なんて存在するわけもなく、ツタヤとブックオフ、もしくはアマゾンなどの通信販売でしかCDを手に入れることは出来ません。ライブハウスも県で数える程しかなく、規模は非常に小さいです。僕がツイッターなどでよく目にする、本当にライブを体験したい若いバンドは絶対に来ませんし、これまた数少ないクラブも、出会い目的の趣味の合わない若者が集まるようなところです。もちろん、ドープな音楽が流れるクラブもほんの数件ありますが、そこには30代以上の世代の違う
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Admitting to sampling Ultimate Breaks and Beats is one of the last remaining sacred cows of rap music. Ghostwriters and beat-jacking entire songs all seems to be fine and dandy these days, but the pride of claiming that you personally found every drum sound, horn stab and loop in the dollar bin of a ‘Mom…
1970年代中盤、ザンビア共和国として知られるアフリカ南部の国は、苦境の時代を迎えていた。同国の初代大統領、ケネス・カウンダと同氏率いる統一民族独立党は、イギリスの植民地支配から既に脱していた。しかし新興共国は、いつの間にか一党独裁体制に陥っていた。カウンダ大統領は、国富の主な源となっている採掘作業を一部国営化。また、当時の南ローデシア(現在のジンバブエ)との政治的衝突に関与したことにより、主要な貿易パートナーだった同国との取引ができなくなった。ザンビアの西はアンゴラ、東はモザンビークだ。ポルトガルの植民地だった両国は、独立のための闘争を各自繰り広げていた。この通り、紛争が内陸国ザンビアの四方を囲っていたのである。 これが、「ザンロック」・シーンの生まれた環境だ。 同シーンは1970年代、ルサカやチンゴラといった都市で流行した。有望なミュージシャンにとっては希望の光に溢れていたものの(60
山本さんと最初に話したのがいつだったのか、精確には覚えていない。たぶん九十年前後くらい、ボアダムスのインタビューの席だったと思う。ボアの取材は結構やった筈だが、山本さんが同席していたのは一、二度くらいだったと記憶する。そのあとは想い出波止場だ。これも何度かやった。とにかく最初の頃はインタビューだった。九十年代半ばにHEADZを作ってからは、ライター仕事以外でも、自分のかかわったコンピに参加してもらったりライヴに出ていただいたり、あれこれとお世話になりつつ、現在に至っている。 HEADZがまだレーベル機能を持っていなかった頃、今も続いているウェザーはPヴァインと組んでやっていた。私が企画と宣伝協力をしてPヴァインの担当がA&R。あるとき山本さんから、長い時間を掛けて作ってきたソロ・アルバムが遂に完成したので、ウェザーから出せないかと打診があった。周知のように山本精一の音楽は想い出波止場ひとつ
サミュエル・ベケットのテレビのための作品『ねえジョウ』には、声が登場する。身体を持たない声だけの存在であるその女性は、現前する男性を脅かす。男性はただ怯えるだけでひと言も発さない。それは幻聴かもしれない。しかし、その男性にしか聴こえていないはずの亡霊の声がわたしたちをも戦慄させる。なによりも「声」こそが、そこでは現前している。 「音」の持つリアリティがある。それは音楽であったり、ダンスであったり、演劇であったり、あるいは名付けようのないものであったり。それぞれに、音が、そのほかの要素と関係し、それに附随しながらも、それが強調され、重要な役割を果たしているような作品がある。それは、音楽や美術といったジャンルから音や響きを抽出することで、音そのものへと還元していったサウンド・アートが指向するものとも異なる。 ジョン・ケージは《4分33秒》において、時間の枠だけを提示することで、そこに体内からの
コンサートの録音というと、今でこそ専用スペースが設けられてることも時たまありますが、まだまだ一般的には密かにこっそりやることであり、会場では「無断で写真撮影、録音等を行なうことは堅く禁じられております」というアナウンスを聞くことが普通です。かつて記録媒体としてテープが使われていたことから、コンサートを録音する人は「テーパー」と呼ばれるようになって現在に至りますが、21世紀に入ってテープを使う人が殆ど絶滅状態であるゆえ、もっと適切な呼び方がそろそろ見つからないものでしょうか。 それはともかく、世界中に名物テーパーがいて、それぞれが特に力を入れているバンドやミュージシャンや音楽分野、活躍する都市を持っているのですが、所詮日陰の存在なので表立って名前が出てくることは極めて稀です。しかし、既に故人で、しかも、録音したものがあまりに貴重ということで、ウィキペディアに登場しているのがマイク・ミラードで
うたのしくみ Season2 第1回 二人でやり遂げる歌「とびら開けて」 ディズニーのアニメーション『アナと雪の女王』は、物語や映像もさることながら、その歌の魅力によって大ヒットとなりました。最近では、ついにシング・アロング版を上映する館まで現れ、映画館内大合唱という事態まで発生しています。 中でも興味深いナンバーが「とびら開けて Love is an open door」(作詞:クリスティン・アンダーソン=ロペス;作曲:ロバート・ロペス;歌:クリステン・ベル&サンティノ・フォンタナ/日本語版:神田沙也加, 津田英佑;訳:高橋知伽江)です。 物語の前半に登場するこの曲は、主人公の一人である王女アナと、彼女の国のパーティーに訪れた南国の王子ハンスとが恋に落ち、プロポーズにいたる歌。ジャクソン5を思わせる軽妙な曲調のデュエットですが、その軽さとは裏腹に、なかなかの難曲です。早口で跳躍するメロデ
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