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ブックマーク / realsound.jp (603)

  • THA BLUE HERBが残す“2020”の記録と音楽ーーILL-BOSSTINOに聞く、今の思いとライブや日常の変化

    THA BLUE HERBが残す“2020”の記録と音楽ーーILL-BOSSTINOに聞く、今の思いとライブや日常の変化 THA BLUE HERBがニューアルバム『2020』を7月2日にリリースする。 2019年夏に発表されたCD2枚組のフルアルバム『THA BLUE HERB』から1年ぶりとなる『2020』には、「IF」、「STRONGER THAN PRIDE」、「PRISONER」、「2020」、「バラッドを俺等に」の5曲を収録。タイトル通り世界中がコロナ禍に見舞われた2020年を記録的に描いた表題曲や、ライブ後の情景や各地の街での出会いと別れを描いた「バラッドを俺等に」など、今の時代を切り取ったリアルタイムのドキュメントのような内容になっている。 日常が大きく変わってしまった2020年。彼らは何を思い、何を綴ったのか。ILL-BOSSTINOに話を聞いた。(柴那典) 「2020」

    THA BLUE HERBが残す“2020”の記録と音楽ーーILL-BOSSTINOに聞く、今の思いとライブや日常の変化
  • 18scott×SUNNOVA、アルバム『PAISLEY』に込めた“受け入れて前に進む意志” 「音楽は自分の感情を提示する場所」

    18scott×SUNNOVAが2ndアルバム『PAISLEY』をリリースした。内省や葛藤をオリジナリティの高いトラックとラップで昇華していった前作『4GIVE4GET』から1年半。今作はよりハードでアグレッシブな作品に仕上がっているが、自身の素直な感情と対峙し、時に客観的に己を見つめながらリリックに落とし込むという18scottのスタンスは変わらない。その分、「面白い!」と感じたラッパーには積極的に声をかけてコラボし、自分たちのヒップホップのフィールドを着実に広げていることに加えて、SUNNOVAのトラックも自由度を増して進化している。ますます互いのグルーブが高まってきている18scott×SUNNOVAにインタビューを行った。(編集部) 「PAISLEY」は闘争の証みたいなイメージ ーー今回のアルバム『PAISLEY』ですけど、先行で配信された「CASH ONLY」であったり、1曲目の

    18scott×SUNNOVA、アルバム『PAISLEY』に込めた“受け入れて前に進む意志” 「音楽は自分の感情を提示する場所」
  • 舐達麻、聴き手を熱狂させるリリックの神秘性ーー覚悟と信念、そして発露する叙情と哀愁

    舐達麻『GODBREATH BUDDHACESS』 ストリーミングやMVの再生回数は驚異的な伸びを見せている。ラップミュージックのリスナー以外からも評判を聞くようになってきた。明らかに彼らのファッションや風貌を真似た若者も目につきはじめている。舐達麻は今、埼玉・熊谷から四方八方へ、その影響力を拡散し始めている。サグライフを文学的なリリックで表現するただならぬクルーがアンダーグラウンドから現れた、という意味ではどこかゼロ年代初頭のMSCの登場を彷彿とするも、あの時を遥かに超えるスケールになってきている。いま、そこかしこで人は言っているに違いない。「なぜ舐達麻はこれほどにバズっているのか」と。 ドラマティックな様式美。覚悟と信念、そして男同士の契りというテーマ性。そこから発露する叙情と哀愁。並べていくと、確かに舐達麻の作品には日人の愛する要素が凝縮されている。 舐達麻とは、煙である。彼らはい

    舐達麻、聴き手を熱狂させるリリックの神秘性ーー覚悟と信念、そして発露する叙情と哀愁
  • 荏開津広

    執筆/DJ/京都精華大学、立教大学非常勤講師。ポンピドゥー・センター発の映像祭オールピスト京都プログラム・ディレクター。90年代初頭より東京の黎明期のクラブ、P.PICASSO、ZOO、MIX、YELLOW、INKSTICKなどでレジデントDJを、以後主にストリート・カルチャーの領域において国内外で活動。共訳書に『サウンド・アート』(フィルムアート社、2010年)。

  • 渡辺志保が選ぶ、2020年HIPHOP年間ベスト10 世界が揺れ動いた年にリリースされたラップアルバムに注目

    渡辺志保が選ぶ、2020年HIPHOP年間ベスト10 世界が揺れ動いた年にリリースされたラップアルバムに注目 21 Savage x Metro Boomin『Savage Mode 2』 42 Dugg『Young & Turnt 2』 Gunna『WUNNA』 Kid Cudi『Man On The Moon III: The Chosen』 Lil Baby『My Turn』 Lil Uzi Vert『Eternal Atake』 Megan Thee Stallion『Good News』 Pop Smoke『Shoot for the Stars, Aim for the Moon』 Run the Jewels『RTJ4』 Terrace Martin, Robert Glasper, 9th Wonder, Kamasi Washington『Dinner Party』 未曾

    渡辺志保が選ぶ、2020年HIPHOP年間ベスト10 世界が揺れ動いた年にリリースされたラップアルバムに注目
  • Zoomgals、LEX、Cookie Plant、Tohji……2021年以降のヒップホップシーンの展望 有識者3名による座談会(後編)

    Zoomgals、LEX、Cookie Plant、Tohji……2021年以降のヒップホップシーンの展望 有識者3名による座談会(後編) 『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)から火がついたMCバトルブーム以降、ヒップホップはコアな音楽ファンだけでなくお茶の間にも広がりをみせている。音楽シーンにおける存在感もさらに高まり、昨年2020年にはCreepy Nutsが大きな飛躍を遂げたほか、Awichが7月にメジャーデビューを果たしたことも話題となった。そして、2019年にアルバム『GODBREATH BUDDHACESS』を発売し熱狂的な人気を集める舐達麻は、現在あらゆるメディアで取り上げられ、彼らの音楽性について様々な議論が繰り広げられている。 リアルサウンドでは、二木信氏、斎井直史氏、市川タツキ氏を招き座談会を企画。後編となる稿では、2021年以降におけるヒップホップシーンの変

    Zoomgals、LEX、Cookie Plant、Tohji……2021年以降のヒップホップシーンの展望 有識者3名による座談会(後編)
  • TohjiとLoota、コラボ作『KUUGA』の異質さとは何なのか 意表を突く表現の尖り

    Tohji, Loota & Brodinski『KUUGA』 3月末、TohjiとLootaが、フランス出身でアトランタを拠点とするプロデューサーBrodinskiとコラボレーションしたアルバム、『KUUGA』がリリースされた。TohjiとLootaはつい先日、Lootaの配信シングル「Love Sick」にTohjiが客演するかたちでコラボし、話題を呼んだばかり。そのタイミングで届けられた作では、激しく変調されたふたりのラッパーの声と、カニエ・ウェスト『Yeezus』(2013年)への参加でも知られるBrodinskiによる硬質でざらついたインダストリアルなサウンドの組み合わせが、このうえないシリアスさを醸し出している。 とはいえ、それを「ビートとラップの組み合わせの妙」とだけ言って片付けてしまうのははばかられる。ビートとラップが一体になっている、という表現もちょっと違う。なにか意表

    TohjiとLoota、コラボ作『KUUGA』の異質さとは何なのか 意表を突く表現の尖り
  • Moment Joonが選ぶ、忘れられない歌詞 自分自身の考えと向き合うきっかけ与える3曲

    アーティストの心に残っている歌詞を聞いていくインタビュー連載『あの歌詞が忘れられない』。連載では選曲してもらった楽曲の歌詞の魅力を紐解きながら、アーティストの新たな一面を探っていく。第7回には、ラッパー・Moment Joonが登場。韓国出身で大阪在住の自身のことを“移民者”と表現する彼が選曲したのは、Power DNA「外人」、Moment Joon「CHON」、Big K.R.I.Tの「Bury Me In Gold」だった。Moment Joonが考える、この3曲の魅力とは。Moment Joonにとっての日語ラップの在り方、そして今後目指していく音楽についても語ってくれた。(編集部) 動画も公開中! 「Power DNAはものすごくHIPHOP」 ――ご自身の曲含めラップミュージックを選定されていて、特に「外人」と「CHON」は通じるものを感じます。まずはPower DNAの「

    Moment Joonが選ぶ、忘れられない歌詞 自分自身の考えと向き合うきっかけ与える3曲
  • GEEKが明かす、活動休止の理由と再始動に至った背景 音楽か家庭かーー3人がたどり着いた日常のリアル

    2000年代中後期、YouTubeへのMVのアップは現在よりもプライオリティは高くなく(現在ほどスマホが発達していなかったことも要因に挙げられるだろう)、それよりもミックステープやフリーダウンロードなどの新興カルチャーの中で、ニューカマーが数多く登場してきた時代。その隆盛の先鞭をつけた一つに、SEEDAとDJ ISSOが手掛けたミックスCD『CONCRETE GREEN(以下、CCG)』の存在は欠かせない要素になるだろう。その中にはSCARSやSD JUNKSTA、DOWN NORTH CAMP、田我流、PUNPEEなど、現在でも活躍を見せるアーティスト達の作品が収録され、シーンから注目されるきっかけとなった。 そして『CCG』への収録から注目を集め、シーンの中心に躍り出たグループとしてGEEKの名前を挙げることに異論を挟むリスナーは少ないだろう。OKI/SEI-ONE/DJ EDOの3人

    GEEKが明かす、活動休止の理由と再始動に至った背景 音楽か家庭かーー3人がたどり着いた日常のリアル
  • シティポップ(再)入門:山下達郎『FOR YOU』 揺るぎない最高傑作、シティポップのアイコンとして位置づけられる所以

    シティポップ(再)入門:山下達郎『FOR YOU』 揺るぎない最高傑作、シティポップのアイコンとして位置づけられる所以 日国内で生まれた“シティポップ”と呼ばれる音楽が世界的に注目を集めるようになって久しい。それぞれの作品が評価されたり、認知されるまでの過程は千差万別だ。特に楽曲単位で言えば、カバーバージョンが大量に生まれミーム化するといったインターネットカルチャー特有の広がり方で再評価されるケースが次々登場している。オリジナル作品にたどり着かずとも曲を楽しむことが可能となったことで、それらがどのようなバックボーンを持ち、どのようにして世に生み出されたのかといった情報があまり知られていない場合も少なくない。 そこで、リアルサウンドではライター栗斉氏による連載『シティポップ(再)入門』をスタートした。当時の状況を紐解きつつ、それぞれの作品がなぜ名曲・名盤となったのかを今一度掘り下げていく

    シティポップ(再)入門:山下達郎『FOR YOU』 揺るぎない最高傑作、シティポップのアイコンとして位置づけられる所以
  • 『竜とそばかすの姫』にみるインターネット史の変化 良くも悪くも垣間見える細田守らしさ

    オリンピックが4年に1度開催されるように、細田守の映画は3年に1度、しかも夏にやってくるというように相場が決まっている。それは細田が東映アニメーションから独立して最初の作品である『時をかける少女』から維持されてきたルーティンであり、そこから数えて6度目の細田イヤーとなった2021年に登場したのが『竜とそばかすの姫』だ。インターネットの世界と現実の世界が重なり合う、それはつまり東映アニメーション時代の『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』と、2009年のヒット作『サマーウォーズ』の系譜を自らの手で更新する細田作品の集大成であることは言うまでもない。 高知県の田舎町で父親と二人暮らしの高校生・すずは、幼い頃に母親を亡くしたショックで歌うことができず、また陰キャとしてひっそりと学校生活を送っていた。そんなある時親友から誘われて<U>というインターネット上の仮想世界に参加する。世界で50

    『竜とそばかすの姫』にみるインターネット史の変化 良くも悪くも垣間見える細田守らしさ
  • 『竜とそばかすの姫』に刻まれる佐々木昭一郎の影響 映画史的記憶を引き継ぐ俳優の起用も

    目の前を男が落ちてきた。『竜とそばかすの姫』の試写を観た帰り道の出来事である。すぐに近くの交番から警官が駆けつけ、一部始終の目撃者が大きな身振りで何事かを警官に話している。やがて救急車の音が聞こえてきたので筆者はその場を離れたが、つい気になってSNSで検索してみると、当事者のツイートが直ぐに見つかった。落ちてきた男は、その直前まで動画配信を行っていたのだ。その動画には、何人かが思いとどまるようにリプライを送っていた。 道に横たわる彼を目にした直後に、数分前の彼の映像をかんたんに見ることができてしまうのが現代である。ネット社会の発達は、匿名の仮面など突発的な事態が起きれば直ぐに剥がし、通りすがりにすぎない筆者に、なぜ彼がそのような行動を取り、どんな原因があったのかまで瞬時に分からせてしまう。『竜とそばかすの姫』で描かれていたのも、こうした現代のインターネットと現実の関係である。 毀誉褒貶の激

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  • 斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」

    斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」 美しく華やかな舞台で多くのファンを魅了する紅華歌劇団は、100年の歴史をもち、未婚の女性だけで構成されている。そんな歌劇団の人材を育成する紅華歌劇音楽学校に、「オスカル様」に憧れる天真爛漫な渡辺さらさと、元・国民的アイドルの奈良田愛ら、40名の少女が第100期生として入学した――。 未来のスターを目指す少女たちの青春群像を描く『かげきしょうじょ!!』は、斉木久美子による大人気マンガだ。2012年に「ジャンプ改」(集英社)で連載が始まり、同誌の休刊後は「メロディ」(白泉社)に移籍して物語は継続されている。今年7月には最新11巻が発売、そしてTVアニメも放送が開始された。新刊リリースとアニメ化、また漫画家生活25周年といくつもの節目を迎える斉木久美子氏に、『かげきしょうじょ!!』に

    斉木久美子が語る『かげきしょうじょ!!』制作秘話と作家生活25年の歩み 「“もう終わったな”と一度は思いました」
  • 松坂桃李が想像させる“空白の3年間” 俳優としての凄みが凝縮された『孤狼の血 LEVEL2』

    8月20日から公開となった 『孤狼の血 LEVEL2』。主演を務めるのは松坂桃李。松坂は、広島の警察官で、裏社会の治安を守るためには、手荒なことも厭わない日岡を演じている。 松坂は今年に入ってからだけでも、ドラマは『今ここにある危機とぼくの好感度について』(NHK総合)、『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)の2作品に主演。また、映画は『あの頃。』『いのちの停車場』そして『孤狼の血 LEVEL2』と、すでに3に出演していて、「役のふり幅が広い」という一言では言い表せないほどである。 吉永小百合が主演の『いのちの停車場』では、吉永演じる医師を追って金沢までやってきた医大卒業生という役。映画のビジュアルを見てもわかるが、在宅医療に向き合う誠実な役、しかも泣き虫の役を演じている。 『あのときキスしておけば』は、スーパーで働く青果担当の青年を演じたが、大ファンだった漫画の作者の巴(麻生久美子

    松坂桃李が想像させる“空白の3年間” 俳優としての凄みが凝縮された『孤狼の血 LEVEL2』
  • 濱口竜介監督の圧倒的な一作 『ドライブ・マイ・カー』という主語なきフレーズが示すもの

    『ドライブ・マイ・カー』は、今年7月のカンヌ国際映画祭で脚賞ほか4冠に輝いた。日映画史上まれな快挙だが、壇上で受賞スピーチにのぞんだ濱口竜介監督は、審査員、原作者の村上春樹、そして脚を具現化したキャスト&スタッフに感謝を述べていたものの、表情には悔しさもにじんでいた。現地メディアの下馬評ではパルムドール(最高賞)の最有力候補だった。じっさいに作品を観ると、受賞結果なんてどうでもよくなるほどに、あまりの見事さに圧倒される。 映画は一組の夫婦の物語として始まるが、驚いたことに、映画が始まって1時間近く経過したころ、やっとメインタイトルとキャスト&スタッフクレジットが現れる。テレビドラマ脚家の・家福音(かふくおと/霧島れいか)と、演劇演出家で俳優でもある家福悠介(西島秀俊)は愛し合っていたが、音が急死することによって長い第1幕が閉じる。最初の1時間で愛の物語が死をもって終わったとき、こ

    濱口竜介監督の圧倒的な一作 『ドライブ・マイ・カー』という主語なきフレーズが示すもの
  • なぜ無名女性たちの演技が国際的評価を得た? 『ハッピーアワー』監督が語る“傾聴”の演技論

    今年8月、スイス・ティチーノ州で開催された第68回ロカルノ国際映画祭のインターナショナル・コンペティション部門で、4人の女性が日人として初めて最優秀女優賞の栄冠に輝いた。5時間17分の大作となった受賞作『ハッピーアワー』の主要キャストである田中幸恵、菊池葉月、三原麻衣子、川村りらは、ともに演技未経験者で普段は別の仕事を持つ一般女性だ。同作の監督を務めたのは、『不気味なものの肌に触れる』などの作品で知られる濱口竜介監督。それぞれに切実な悩みを抱える30代後半の女性4人の人間関係を、その日常とともに丁寧に描き出した作は、なぜ世界的に評価される鮮烈な作品となったのか。濱口監督らが行ったこれまでにない試みと、その独特な演技論について、監督人に話を聞いた。 「“聞くこと”のプロフェショナルになることを目指した」 ーー作に登場するキャストのほとんどは、一般の演技未経験者ということですが、どうい

    なぜ無名女性たちの演技が国際的評価を得た? 『ハッピーアワー』監督が語る“傾聴”の演技論
  • 黒沢清監督はなぜパロディーを多用するのか? 『散歩する侵略者』に見る、主従関係からの解放

    ありふれた日住宅地を“人間の身体を乗っ取った(ボディー・スナッチ型)宇宙人”が、ぶらぶらと散歩している。油断していると犬に噛まれ散々な目に遭うなど、『オバケのQ太郎』のようなほほえましさもあるが、彼は地球を征服するために送り込まれた調査チームの一人で、散歩しながら人間のことを学習しているのだという。 その方法は、人間の頭の中から様々な“概念”を奪い、直接それを自分のものにしていくというものだ。「自分・他人」だったり「所有する」という概念を奪い取られた被害者たちは、頭の中のあるべきものが欠落することで、今までとは別の人間になってしまう。 現在の日の恐怖映画における代表的存在で、異端的な作品を作り続けている黒沢清監督による、作『散歩する侵略者』は、このような観念的な設定の人間ドラマを、シュールで悪ノリしたコメディ・タッチで描いている。それはもともと、作の原作者であり、黒沢映画に多大な

    黒沢清監督はなぜパロディーを多用するのか? 『散歩する侵略者』に見る、主従関係からの解放
  • 宮台真司×黒沢清 対談:黒沢作品における“取り残された者の呪い”をめぐって

    社会学者・宮台真司の映画批評集『正義から享楽へー映画は近代の幻を暴くー』が、12月27日にリアルサウンド運営元・blueprintより刊行される。同著は、宮台真司がリアルサウンド映画部にて連載中の「宮台真司の月刊映画時評」を加筆・再構成し書籍化したもの。『シン・ゴジラ』『クリーピー 偽りの隣人』『バケモノの子』『ニュースの真相』など、2015年から2016年に公開された作品を中心に取り上げながら、いま世界に生じている変化などを紐解く。さらに、黒沢清、富田克也&相沢虎之助との特別対談も収録。リアルサウンド映画部では、発売に先駆けて、宮台真司と黒沢清による特別対談の一部を抜粋し、掲載する。 黒沢清作品を彩る無意識 宮台:黒沢監督、お久しぶりです。監督とは、かつて僕が映画批評を連載していた時期に何度か対談させていただきました。実は一年半前から連載を再開し、まもなく書籍化されることになります。そこ

    宮台真司×黒沢清 対談:黒沢作品における“取り残された者の呪い”をめぐって
  • 宮台真司インタビュー:『崩壊を加速させよ』で映画批評の新たな試みに至るまで

    社会学者・宮台真司がリアルサウンド映画部にて連載中の『宮台真司の月刊映画時評』などに掲載した映画評に大幅な加筆・再構成を行い、書籍化した映画批評集『崩壊を加速させよ 「社会」が沈んで「世界」が浮上する』が、リアルサウンド運営元のblueprintより刊行された。同書では、『寝ても覚めても』、『万引き家族』、『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』、Netflixオリジナルシリーズ『呪怨・呪いの家』など、2011年から2020年に公開・配信された作品を中心に取り上げながら、コロナ禍における「社会の自明性の崩壊」を見通す評論集となっている。 このたびリアルサウンド映画部では、著書の宮台真司にインタビューを行った。前作『正義から享楽へ』発表直後に誕生した米トランプ政権に対する評価から、「存在論的転回の再考」に至った学問的経緯、さらに映画批評へと格復帰を果たすまでの思想的変遷につ

    宮台真司インタビュー:『崩壊を加速させよ』で映画批評の新たな試みに至るまで
  • 『夏への扉』と『Arc』、いずれも大苦戦 日本の実写SF作品は求められていないのか?

    先週末の動員ランキングは、『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』(松竹)が土日2日間で動員12万9000人、興収1億8300万円をあげて2週連続で1位となった。6月28日までの10日間の累計動員は50万9000人、累計興収6億9934万1570円。 初週は初登場4位と奮わなかったが、地味に健闘を見せているのが先週に続いてトップ3にランクインしている『キャラクター』だ。こちらは6月28日までの17日間の累計動員が65万6758人、累計興収が9億1682万7130円。主演作として前作にあたる『花束みたいな恋をした』の大ヒット(累計興収38億円突破)は言うまでもなく、パンデミック期に入ってからの主演作としては、公開延期を経て昨年8月に公開された『糸』(最終興収22.4億円)も隠れた大ヒット。今回の『キャラクター』も10億円超えは確実で、「映画館に客を呼べる役者」としての菅田将暉神話は健在だ。 さて、先

    『夏への扉』と『Arc』、いずれも大苦戦 日本の実写SF作品は求められていないのか?