矢田部良吉、伊藤圭介、松村任三、牧野富太郎……。日本の植物学の夜明けを支えた植物学者たちが活躍してきた小石川植物園。本館2階の標本室には、明治期から蓄積された80万点超の植物標本が収蔵されています。 「東アジアを代表するコレクションのうち、種の学名を命名する基準となるタイプ標本は約1万点。ずば抜けて多い数です。これらを失うことはその種の証拠を失うということ。次代に引き継がないといけない貴重なものです」と語るのは、2018年から園長を務める川北先生。 しかし、内田祥三が設計した本館は築85年。老朽化によって外壁が傷み、室内では雨漏りが進み、大雨の日は地下が水浸しになる始末です。現代の収蔵棚の多くは可動式ですが、小石川ではいまだに旧式のスチール製ロッカー。すでに満杯のため、標本を増やさないようにしているのが現状です。
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