日本におけるソウルミュージック研究の第一人者、鈴木啓志が10年ぶりに書き下ろした「メンフィス・アンリミテッド――暴かれる南部ソウルの真実」。米南部ディープソウルの中心、メンフィスソウルの奥深い世界を解き明かした一冊だ。そんな本書について、音楽ブロガーのアボかどがヒップホップ視点で綴った。というのも、同地はヒップホップにおける重要な場所でもあるからだ。メンフィスソウルからメンフィスラップへ、音楽の豊かな系譜を追う。 *Mikiki編集部 優れた奏者が集まったメンフィスソウルの魅力 メンフィスという地の魅力は奥深い。メンフィスブルース、メンフィスソウル、メンフィスラップ……と、地名を冠した音楽をいくつも生み出したこの地は、アメリカの音楽史における最も重要な地と言えるだろう。現代のヒップホップにおいても、先日新たなミックステープ『Ehhthang Ehhthang』をリリースしたグロリラや、サン