第11回:地球時間とデジタルに抗え!時空を超える「インターステラー」創作の秘密なんという気宇壮大な映画的挑戦なのだろう。制約なきインディペンデント映画出身の実験精神を、ハリウッド・メジャーになっても貫き通すクリストファー・ノーラン監督作品が、さらなるバージョン・アップを遂げた。「インセプション」で「夢」を精密に建築設計し、その中に侵入して前代未聞のアクションで魅せたノーランが、「宇宙」の構造に挑みかかり、星間旅行を科学的に解き明かしながら、未知なる体験へといざなうのだ。 思弁的でやや難解な方向へ傾きがちなノーラン映画だが、宇宙SFに1億6500万ドルを投じて取り組むにあたり、ドラマに太い幹を用意している。父と娘の絆だ。科学に基づく冷徹な冒険の中核にあるのは、最もプリミティブな人間的情感。マクロな視野とミクロな物語のクロス・カッティングが、切なく厳かなハーモニーを奏で、マシュー・マコノヒーの