名作ファンタジー『ゲド戦記』を書いたアーシュラ・K.ル=グゥインは、『夜の言葉 ファンタジー・SF論』の中で、「SFは現代の神話である」と述べている。 「肉体であると同時に精神でもある人間が世界を感じ、理解し、それとかかわりともつためにはいくつかやり方がありますが、神話はそのひとつを表現したものなのです。科学同様、神話は人間の基本的な認識様式の産物です」(p122) 「神話」とは世界を認識し、表現する方法のひとつである。ル=グゥインが「科学」と対比させて主張している「神話」とは、「宇宙論」(自己と世界についての説明)のことである。性を持ち、情緒も持つ世界に現に身体をもって巻き込まれている私たちに、科学的で合理的な世界観とはまた異なる「宇宙論(コスモロジー)」を提供するのが、神話の存在意義である。 近代ファンタジー」と「SF」の共通性 本連載でこれまで使ってきた「SF」の定義「科学技術に満た