14世紀に建てられたブラン城。ルーマニアのトランシルバニア地方にあり、ドラキュラ伯爵の居城と言われる。(Gregory Wrona/Getty Images) 人の生き血を吸う吸血鬼、満月の夜になると狼に変身する狼男……これらの怪物たちは、現代の私たちには怪奇小説やホラー映画のキャラクターとしておなじみだ。しかし長い歴史の中では、その存在が実際に信じられ、言い伝えや目撃例も枚挙にいとまがない。なぜこれらの怪物は出現したのか? なぜ信じられたのか? 伝説誕生の経緯を科学の目で検証してみよう。 ■埋葬の儀式がバンパイアの正体を暴く 吸血鬼の起源は古代ローマ、ギリシャ、エジプトにまでさかのぼる。「バンパイア」という名が使われるようになったのは11世紀になってから、奴隷売買が行われていた東欧でのことだった。スラブ語で死からよみがえる人を意味するバンピルや、トルコ語で魔女を表すウピルがその語源とされ