‘24年3月22日(金) 江戸末期の医師を描いた 森鷗外の 『渋江抽斎(しぶえちゅうさい)』の中に 流行病の麻疹(ましん)(はしか)に 薬効があるとされた二つの葉のことが 出てくる。 「御柳(ぎょりゅう)の葉」と 「貝多羅葉(ばいたらよう)」。 民間薬として用いられ、流行時には 渋江の家にもらいにくる人が 大勢いたと書いている ▼「貝多羅葉」とはモチノキ科の 「タラヨウ」。 この葉の裏に爪などで傷をつけると 黒く変色するので字を書ける。 葉書(はがき)の語源と伝わるが、 この特性を生かした使い道もあった。 <麦殿は生まれぬ先にはしかして かせたる後はわが身なりけり>。 この歌を葉に書いて川に流せば、 はしか除(よ)けになると信じられて いた ▼はしかを退治する大明神の 「麦殿」の力をあてにしたくなる。 はしかの感染者が国内で相次いで報告 されているそうだ ▼「麻疹は命定め」とは江戸時代の