イタリアの友人からメールが来た。 「新聞では、レベル7ということでたいへん怖い記事が載っていました。田口さんは大丈夫ですか? とても、恐ろしいです」 日本語を母国語としない彼の日本語は、時として妙なリアリティをもつ。 たどたどしいような「恐ろしい」という言葉に私のほうが恐ろしくなる。 海外の専門家の冷静さと逆に、海外の一般の人たちの放射能への恐怖はとても強い。 五年前に、チェルノブイリ原発の事故により放射能汚染地域となったベラルーシの村に取材に行ったときのこと。避難命令が出て閉鎖された村に入るのに、私たちは平服だったが、イタリアの援助グループは白い防護服を着ていた。そのものものしさ、我々との感覚のズレのに驚いた。「日本人は放射能が怖くないの?」と逆に聞かれた。 あのとき、私は自分が怖いのか怖くないのか、はなはだ心もとなく「怖いような、でも、そこまで怖くないような……」という不思議な気分だっ