(読み解き経済)「高橋財政」から学ぶもの 岡崎哲二岡崎哲二(おかざき・てつじ) 1958年生まれ。東京大大学院経済学研究科教授。専攻は経済史、歴史・比較制度分析。著書に「日本の工業化と鉄鋼産業」(サントリー学芸賞)、「経済史の教訓」など=山本和生撮影 首相官邸に入る高橋是清蔵相=1933年 昨年末の総選挙に先だって、自由民主党の安倍晋三総裁が、金融政策の手段として建設国債の日銀引受発行を提起し、大きな話題となった。これは、財政法の均衡財政主義が実質的に崩れていく中で、唯一これまで遵守(じゅんしゅ)されてきた国債日銀引き受け禁止の原則に触れるものだったことによる。 財政法は、財政支出は税収によって賄うという均衡財政主義に立つ一方、公共事業・出資金・貸付金の費用に充てるための建設国債については、例外としてその発行を認めている。国債の日銀引き受けというのは、政府が日銀に直接、国債を売却することを