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ブックマーク / kaoriha.org (35)

  • 中里一日記: 鉛の弾丸さえ足りていない

    鉛の弾丸さえ足りていない スコット・ローゼンバーグ『プログラマーのジレンマ』を読んだ。 ソフトウェア開発の加速装置として、抽象化とプロセス(コードレビュー等)ばかりに注目しているが、私としては、「とりあえず制約解消系をつけてくれ」と言いたい。 「全ての十分に複雑なCもしくはFortranプログラムは、後付けの、不完全な仕様とバグを持ち、遅い、Common Lispの半分の実装を含んでいる」という話がある。Common Lispだけでなく、制約解消系も含んでいる、というのが私の意見だ。レイアウト物(ブラウザやTeX)を思い浮かべればわかりやすいだろう。 制約解消系が組み込まれていない言語は、十分に高級とはいえない。抽象化の層だのソフトウェア工学だのと御大層な話をしなくても、工具箱のレベルで足りないものがあり、毎日不便な思いをしているのが現状だ。銀の弾丸のあるなしを論じるより先に、鉛の弾丸を運

    yugui
    yugui 2009/07/20
    制約解消系
  • 中里一日記: 40年後の子供たちへの言い訳

    40年後の子供たちへの言い訳 「同時に、同法は、児童を性欲の対象としてとらえることのない健全な社会を維持するという社会的法益の保護をもその目的としているものと考えられる」と回答 子供の人権年表の進行は止まりそうもない。 願わくば、チャドルの着用を強制される40年後の子供たちに向かって、「私はできるかぎり抵抗した」と言い訳できるようになりたい。もし万が一、40年後の私が、「子供がチャドルをかぶるのは当たり前だ」などとぬかすような老人になっていたら、問答無用で殺してほしい。

    yugui
    yugui 2009/01/22
    自民党は「健康で健全なアーリア人種の国家を作ります」ってノリだな。
  • 中里一日記: 虚無と犯罪

    虚無と犯罪 山口県光市の母子殺害事件について。 あの被告人の言葉には、虚無を感じる。特に有名なのは、「無期はほぼキマリでして、7年そこそこで地上にひょっこり芽を出す」だろう。 「芽を出す」。この表現の暗さは形容しがたい。「シャバに戻る」ではなく「地上に芽を出す」。自分は地上に属する人間ではないのだと、暗に語っている。故郷のような「ここに戻りたい」と願う場所がないのだと、それも失ったのではなく最初からないのだと、暗に語っている。 あまり注目はされていないが、これも虚無を感じさせる言葉が新たに報道された。 「死刑もやむを得ないと思う?」と問われて、「はい。僕は死刑存置主義者ですから」 法廷闘争のありさまからして、被告人は文字どおりの死に物狂いで死刑を免れようとしているのかと思っていた。が、この発言である。死に物狂いの人間の言うことではない。絶望や諦念でもない。無関心、というべきだろう。 自分が

    yugui
    yugui 2008/04/26
  • 中里一日記: 悪の敵≠善の味方

    悪の敵≠善の味方 ブッシュ大統領が「悪の枢軸」というレトリックを使ったとき、私はすかさず「善の連合」という言葉を思いついた。 「善の連合」。被害妄想が昂じてイラクを破壊したあの馬鹿の国は、おそらくこの連合の一員ではないだろう。 教訓――「自分は悪の敵だ」と主張する輩は疑ってかかれ。敵の敵は味方ではない。 悪の敵主義者が好んでとりあげるネタは、以下の3つだ。 ・異教徒 ・子供 ・未開人 「異教徒がアルカイダに感染する!」「子供が有害情報に感染する!」「未開人が共産主義に感染する!」。これが悪の敵主義の決まり文句だ。無力で善良で愛すべきだが言葉の通じない隣人がいて、その隣人を守るために悪を倒さなければならない、でなければ悪に感染した隣人が我々を襲うだろう――という構図を彼らは描く。 この構図のなかには、愛も理想もない。守るべきものとしてネタにされている当の異教徒・子供・未開人が共感できるような

  • 中里一日記: 検閲済みの表の言論 vs 野放しの地下の言論

    検閲済みの表の言論 vs 野放しの地下の言論 ロバート・ダーントン『革命前夜の地下出版』(岩波書店)を読んだ。フランス革命への道は地下出版が舗装した、という話である。 アンシャン・レジームのもとでは出版は、政府の検閲を経てギルド的な組織により印刷・流通される「表」の出版と、そうした表の機構の外にある地下出版に分かれていた。 このような二分割体制のもとでは、地下出版は体制憎悪の培養器になる。「表」で既得権益にありつけなかった連中が地下出版に集まり、アンシャン・レジームの既得権益を満喫している連中を攻撃するからだ。 政府が地下出版への締め付けを強めると、体制への攻撃はいっそう激しくなる。なぜなら締め付けが緩いうちは、地下出版といっても海賊版などのローリスク・ローリターンな商売が多くを占める。締め付けが強まると、地下出版業者はハイリスク・ハイリターンの領域へと追いやられ、真正面から体制を攻撃する

    yugui
    yugui 2008/03/13
  • 中里一日記: 少コミを読む(第37回・2008年第1号)

    yugui
    yugui 2008/01/21
    memento mori
  • 中里一日記: 地層

    地層 TCP/IPスタックを介さずに直接Ethernetフレームを送受信すれば遅延が減るはず、なら低遅延のためにデータリンク層をEthernetとL2スイッチに決め打ちしたプロトコルがあるはず、と思ってぐぐっていたら、こんなものを見つけた。 Ethernet Type Codes 消滅してしまった企業の数々と、忘れ去られたRFCの数々が並んでいる。 わざわざEthernet Typeを割り当ててもらうくらいなのだから、それぞれ当時はそれなりに力の入った規格だったのだろう。成功する規格がどれほど少ないかを客観的に見せ付けられて、ため息が出た。 なお、Ethernet決め打ちプロトコルは現状GAMMA一択のようだが、プロトコルの詳細がどこにも出ていないような気がする。

  • 中里一日記: 難しいプログラミング入門

    難しいプログラミング入門 『やさしいプログラミング入門』といったタイトルのを見るたびに、『鈍才の数学』のことを思い出す。 これは中学か高校のとき教師から聞いた話だ。 かつて、『鈍才の数学』という学習参考書を書いた人がいた。著者がいうには、「天才にとって数学は簡単なので、鈍才が数学に苦しむ理由がわからない。しかし自分は鈍才なので、それがわかる。だから天才よりも私のほうが、鈍才の読者諸君をうまく教えることができる」。納得できる話だ。の内容も大変優れていた。しかし『鈍才の数学』はまったく売れなかった。そこでタイトルを『英才の数学』に変えたところ、ただちにベストセラーになり、数学の学習参考書の定番になった。どうやら、学習参考書を選ぶときに、自分を鈍才と認めることのできる人は少ないらしい。 『やさしいプログラミング入門』には、『英才の数学』的なごまかしを感じる。数学もプログラミングも、ほとんどの

  • 中里一日記: 巨大で身近なドラマ

    巨大で身近なドラマ Raymond Chen『Windowsプログラミングの極意』(アスキー)を読んだ。 最初のWindows(バージョン1.0、1985年)は、ゲームボーイアドバンス並みのハードウェアで動いた。そのときにはすでにGlobalAllocがあり、GetWindowTextがあった。どちらもハードウェアに密着した仕様になっていた。この密着がのちにWindows 3.1の成功をもたらす。Windows 3.1は、当時のボリュームゾーンのPCから最高の実行速度を絞り出して、OS/2とMacを叩きのめした。 Win64にもGlobalAllocとGetWindowTextがある。 途方もないことが――途方もないことが起きたのだ。 書はそのドラマの端々をエピソード的に垣間見せてくれる。バイナリ互換性、ソースコード互換性、セキュリティ、ユーザビリティ、サードパーティの糞ドライバ。天文学

    yugui
    yugui 2007/08/31
  • 中里一日記: 伏見憲明『性という〈饗宴〉 対話篇』(ポット出版)

    伏見憲明『性という〈饗宴〉 対話篇』(ポット出版) BLへの典型的な批判に、「ホモフォビックな世間を設定・利用した作品が多い」というものがある。 他人のことなどどうでもいいのが人間の常のはずなのに、わざわざ「同性愛なんて!」と嫌悪してくれる世間を描く作品が多い、という批判だ。これを「読者・作者が異性愛だから」と解釈する向きもあるが、賛成できない。いまの若い世代はともかく、それこそ『薔薇族』しかなかった時代には、ホモフォビックなホモも多かったらしい。書にも、「当事者が一番ホモフォビックだった」との証言がある(ページ数不明)。さらに言えば、「同性愛者は非同性愛者よりホモフォビアに直面する機会がはるかに多いので、非同性愛者の目には異様に見えるほどホモフォビックな世間のほうがむしろ妥当に見える」という理屈も成り立つし、そうするとむしろ「読者・作者が同性愛だから」という結論が導かれる。 それはさて

  • 中里一日記: 情けないのはどちらか

    情けないのはどちらか 取調官を監視するために取調室に“防犯カメラ”が設置されたというのでは、あまりにも情けない 国家権力を監視しようとせず、ただ高潔であってほしいと期待するだけの、その水戸黄門根性こそが情けない。

  • 中里一日記: 久美沙織『コバルト風雲録』(本の雑誌社)

    久美沙織『コバルト風雲録』(の雑誌社) かつて『丘の家のミッキー』をものしてコバルト文庫の人気作家になった著者が、自身の作家生活を振り返ったである。「コバルト」とは銘打っているが、著者の個人史の印象が強い。 書のテーマ――読者は信じるに値するか? 著者は、コバルトの読者層の変質に伴い、読者への不信を深めていったという。また現在のライトノベル読者への不信ものぞかせている。 読者への不信を象徴するのが、「おかみき罵倒の嵐事件」だ。 著者は『丘の家のミッキー』の終盤で、主人公から彼氏役にキスする話を書いた。これが一部読者の反発を買い、著者のもとに激越な調子の抗議文が多数寄せられた。この件で著者は衝撃を受け、読者への不信を深めたという。 他人事の立場から言わせてもらえば、これはむしろ、「馬鹿どもに誤爆したぜ奴らションベンもらしてベソかいてるよヒャハハハハ」と喜ぶところだ。というより私は喜んだ

  • 中里一日記: エズモンド・ピット『Javaネットワークプログラミングの真髄』(SoftBank Creative)

    エズモンド・ピット『Javaネットワークプログラミングの真髄』(SoftBank Creative) 書を全人類に薦める。 著者は物のプログラマであり、しかも超一流である。Javaともネットワークともプログラミングとも縁がない人でも、書は必読である。 以下29ページから引用する。 TCP/IPプロトコルとBerkeleyのソケットAPIに関してもっと驚くのは、両者を結び付ける公式のドキュメントがどこにもないことです。つまり、ソケットAPIの何がプロトコルの何に対応するのか、どんな状況で、プロトコルのどの成分をAPIのどの部分が発行したり受け取ったりするのか、…これらが未だにまったく公式に明確になっていないのです。 BSDソケットのはあり、TCP/IPのはある。しかし両者を対応させて書いているはなかった。その理由は、これなのだ。この事実を教えてくれたは、いままで一冊もなかった。

  • 中里一日記: Javaのバッドノウハウ:リソースバンドル

    yugui
    yugui 2007/04/29
    なるほど
  • 中里一日記: 高田里惠子『グロテスクな教養』(ちくま新書)

    yugui
    yugui 2007/04/22
  • 中里一日記: 減量のためなら命もいらぬ

    減量のためなら命もいらぬ いわゆるダイエットについて。 私は2週間で13キロ痩せたことがある。もちろん不健康きわまりない方法だ。その方法を以下に述べる。 ・期間は春休み中 外に出ず、家でゴロ寝して過ごすのがポイントだ。 ・ただ単に事を減らす 朝はインスタントの素うどんだけだった。昼は抜き、夕は半分に減らした。 ・間のたぐいはミルクティーのみ 紅茶はトワイニングのプリンスオブウェールズ、牛乳はノンホモジナイズドのを使っていた。近所の大衆的スーパー(西友)でおいしいノンホモジナイズド牛乳を売っていた、素晴らしい時代だった。 ・レンタルビデオで映画を観まくる 夢中になって全身全霊で観る。駄作なら怒りに震えて観る。傑作ならガッツポーズで観る。 ・運動はレンタルビデオ屋まで歩いて往復1時間だけ 背筋を伸ばしてキビキビ歩く。だらだら歩くと空腹が辛い。 ・リバウンドを計算に入れる いうまでもな

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    yugui 2007/03/21
    熱力学の第1法則式減量法
  • 中里一日記: GNU宣言

    GNU宣言 初めてGNU宣言を読んだのは、いつのことだったか。「これはソースコードからビルドする世界の話だ」というのが、当時の感想だった。もちろん人は普通、ソースコードからビルドなどしない。面倒だからだ。とはいえ、そういう世界では筋の通った話だとも思った。 いま、Stallmanの「フリーソフトウェアと自由な社会」を読んでいる。再びGNU宣言を読んでみて、致命的な問題にひとつ気づいた。 プログラムの使用を制限してプログラムのユーザからお金をとることは、その制限のせいで、使用できるプログラムの種類や方法が減ってしまうので、破壊的行為となる。これは、人類がプログラムから得られる富の量を減らしてしまう。故意に制限すると決定したときには、意図的な破壊という有害な結果をもたらすだろう。 この主張は誤っている。プログラムの使用を制限しないことによって、人類がプログラムから得られる富の量を減らしてしまう

    yugui
    yugui 2006/12/13
    フリーであることによって生き続ける負の遺産に
  • 中里一日記: Google = 人間グリッドコンピューティング

    Google = 人間グリッドコンピューティング 自分でコンテンツマッチエンジンを作ってみて、よくわかった。Googleは人間グリッドコンピューティングを実用化した。Googleの莫大な利益はそこから生じている。AdSenseとAdWordsのことだ。 何度でも言おう。コンテンツマッチは、アルゴリズムの問題ではない。たくさんの広告主を使って人力でマッチングさせることが、コンテンツマッチの質だ。しかも広告主は、働いてくれるだけでなく、金までくれる。こんなにおいしい商売をしているのだから、あの時価総額にもなるわけだ。

    yugui
    yugui 2006/10/28
  • 中里一日記: コンテンツマッチエンジンを自作した

    コンテンツマッチエンジンを自作した Googleもすなるコンテンツマッチといふものを、Houndもしてみむとて、したなり。 というわけで、いまHoundの広告はコンテンツマッチになっている。マッチングのエンジンは私が作った。 自分で作って初めてわかったことを、いくつか書き留めておく。 ・広告主を働かせろ Googleのコンテンツマッチがよくマッチするのは、アルゴリズムが偉いのではない。広告主を働かせる仕組みが偉い。たくさんの広告主が頭をひねって最大の効果を狙うからこそ、あれほどマッチする。広告主を働かせずにコンテンツマッチするのは、あまりにもつらい。Amazonおまかせリンクがあまりマッチしないと評判だが、よくやっているほうだと思う。 ・作るには時間がかかる 私の後に続く挑戦者諸氏に一言。コンテンツマッチエンジンを作るのは、とにかく時間がかかる。あなたか天才プログラマでないかぎり、夏休みの

  • 中里一日記: 弱参照キャッシュの罠

    弱参照キャッシュの罠 Javaの弱参照をキャッシュに使いましょう、という話がよくある。しかしこの手を考えなしに使うと、罠にはまる。私がはまった。 キャッシュ対象を生成する操作で、大量のメモリを確保・解放したら、なにが起こるか? あるときはなにも起こらない。あるときはガベージコレクションが起こる。起動後しばらくは前者であることが多い。起動からしばらくすると、後者がぼちぼちと起こるようになる。 ガベージコレクションは弱参照を消してしまう。 ということは、だ――キャッシュ対象Aを生成するときにB, C, D...が消されてしまい、その消されたBを生成するときにA, C, D...が消されてしまい…… という現象が起こる。しかもこの現象は、起動直後には起こらず、しばらく経ってから起こるようになる。 いったんこの現象が起こると、まるでスイッチが入ったように止まらなくなる。特に、複数スレッドでキャッシ