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ブックマーク / agora-web.jp (14)

  • それでもあなたは生保に入りますか? - 『生命保険のカラクリ』

    ★★★★☆ (評者)池田信夫 生命保険のカラクリ (文春新書) 著者:岩瀬 大輔 販売元:文藝春秋 発売日:2009-10-17 おすすめ度: クチコミを見る 大手生命保険会社に就職した私の友人が、3年ほどでやめて大学院に入り直した。理由をきいたら「客をだましてもうける仕事がいやになった」という。彼の話では、日の生保は「生保のおばちゃん」を使って彼らの親戚を加入させ、外務員を使い捨てて加入者を増やしていくビジネスで、金融商品としてのリターンはマイナスだという。 おばちゃんは「万が一のときに備えるとともに利殖にもなる」と勧誘するが、そんなうまい話があるだろうか。次の二つの医療保険があるとして、あなたはどっちに加入するだろうか? 保険料が10万円で、病気になったら医療費を払ってくれる「掛け捨て」 保険料が20万円で、病気になったら医療費を払い、無事に満期を迎えたら10万円の「ボーナス」が払い

    それでもあなたは生保に入りますか? - 『生命保険のカラクリ』
  • 不安のループ - 池田信夫

    私のブログの「希望を捨てる勇気」という記事に多くの反響があって驚きました。これは特に若い世代に、経済の先行きについての不安が高まっていることを反映しているのでしょう。では人々が会社を見捨てて転職したり起業したりするかというと、現実は逆です。生産性部の調査によれば、今年の新入社員のうち「今の会社に一生勤めようと思っている」社員の比率は55.2%と、過去最高になりました。 転職について「しないにこしたことはない」とする回答も34.6%と最高を記録し、「社内で出世するより、自分で起業して独立したい」とする回答は14.1%と、史上最低になりました。これは当然です。不況になると外部労働市場が収縮して転職が困難になるので、会社にしがみつこうとする。こうした保守的な傾向が強まると企業は求人を減らし、労働市場がさらに収縮する・・・という負のループが発生するのです。 これはDiamondの有名な論文で示さ

    不安のループ - 池田信夫
    yukio2005
    yukio2005 2009/04/30
    部分最適の集計が全体最適にならないコーディネーションの失敗を補正する均衡選択が、政府の本質的な役割
  • 大ざっぱに正しい経済学を - 池田信夫

    BusinessWeekで、「経済学は役に立たない」という特集をやっています。このごろ雑誌で経済学を取り上げると、必ずこういうテーマで、うんざりします。 ただ役に立たないことは事実で、経済学を自然科学と同じ意味での「科学」と呼ぶことはできません。自然科学で、たとえば明日の朝、太陽が東から昇るか西から昇るかで論争になることは考えられない。ところが経済学では、今のような危機で政府が何をすべきかといった基的な問題についてさえ、右から左までいろんな意見があって、全体としては何も結論が出ません。 もちろん経済が非常に複雑性の高い現象だというのが根的な原因ですが、経済学の方法論にも問題があります。科学としての体裁をとることに過剰なエネルギーをそそぎ、その来の目的である経済政策を処方することが、学問的に余り評価されていない。特に最近のマクロ経済学では、厳密な定量的モデルをつくることが評価され、動学

    大ざっぱに正しい経済学を - 池田信夫
  • 資本主義は「赤の女王」である

    ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』に、赤の女王というキャラクターが出てきます。この世界では、すべてがあべこべで、アリスが女王と一緒に走ってもまわりの風景は変わりません。アリスが驚いて「まあ、まるでずっとこの木の下にいたみたいだわ! なにもかももとのまま!」というと、女王はこう答えます。「ここでは同じ場所にとどまるだけで、もう必死で走らなきゃいけないんだよ。そしてどっかよそに行くつもりなら、せめてその倍の速さで走らないとね!」 このメタファーは有名で、生物学にも「赤の女王仮説」というのがありますが、ビジネスにも通じます。資主義は、つねに新しいことを続けていないと競争に敗れる、赤の女王の世界なのです。これは実は、新古典派経済学が想定している市場経済とはまったく別の原理です。市場経済は古典力学的な均衡に向かう熱的な孤立系で、均衡状態では利潤はゼロになります。しかし利潤がゼロになったら、資

    資本主義は「赤の女王」である
    yukio2005
    yukio2005 2009/03/15
    資本主義は、つねに新しいことを続けていないと競争に敗れる、赤の女王の世界
  • 「戦略問われる次世代携帯」? - 松本徹三

    たまたま出張先のロンドンで標記のような見出しで始まる日経の社説を読み、「またか」と思いました。日経の社説と言えば、日の産業・経済を論じるものとしてはそれなりの格を持つものなのですから、もう少し気の利いたことを書いてほしかったというのが正直な気持です。MVNOについて書いた先のブログでも触れたように、総務省にかつての通産省のような「産業育成」の気持ちが強いのは分っています。しかし、日経の記者ともなれば、総務省のレクチャーをそのまま社説にするのではなく、日の外で起こっていることについての自らの取材も含めて、もう少し質的な問題を掘り下げてもらって然るべきだと思うのです。 だからと言って、史上初の実質的な比較審査(ビューティーコンテスト)を通じて、KDDIと京セラが主導する会社に「WiMAX」の免許を、ウィルコム(米国のファンドであるカーライルと京セラ、KDDIが株主)の「次世代PHS」にも

    「戦略問われる次世代携帯」? - 松本徹三
  • MVNO論議の不思議 - 松本徹三

    MVNOとはMobile Virtual Network Operatorの略で、自らは通信回線設備を持たず、既存事業者から借り受けるが、顧客に対してはあたかも自らが事業者であるかのごとく携帯通信サービスを提供する会社のことです。もともと欧米で始まった事業形態ですが、日でも総務省が後押しして、いくつかの会社が参入しています。ところが、自ら通信事業者であるソフトバンクが同じ新興通信事業者のイーモバイルの回線を借りてサービスを行うと発表したのに対し、「MVNOはそういうことをするためのものではなく、このようなやり方は不公正だ」と意義を申し立てる人達が出てきて、今ちょっとした議論になっています。雑誌「選択」の記事では、このようなやり方を「不公正だ」とまでは言っていませんが、「野合」であると揶揄しています。 私は、このブログサイトには個人の資格で投稿しており、この場を借りてたまたま自分が勤務して

    MVNO論議の不思議 - 松本徹三
  • アゴラ beta : 小沢事件は「国策捜査」か - 池田信夫 - livedoor Blog(ブログ)

    今回の事件についての民主党執行部の対応は、小沢一郎氏に劣らずお粗末といわざるをえません。捜査当局の把握している情報の全容を把握しないうちから、鳩山幹事長が「国策捜査」などと口走るのは軽率です。もちろん党首の秘書が逮捕されたことに黙っているわけには行かないでしょうが、捜査は事実無根ではないのだから、まず小沢氏を査問して事実関係をただすのが第一歩です。彼の(説得力のない)話を受け売りして検察批判をし、あとでそれと矛盾する証拠が出てきたら、偽メール事件のときのように執行部まで連帯責任を負わなければならない。 そもそも今回の捜査は国策捜査でしょうか。この言葉は佐藤優『国家の罠』で使われたものですが、彼の場合は事務次官の決裁まで受けた国際学会への出席が「背任」だという容疑には無理があり、鈴木宗男氏をスケープゴートにするため、でっち上げられた疑いが強い。しかし今回の事件では、問題の二つの政治団体から小

    アゴラ beta : 小沢事件は「国策捜査」か - 池田信夫 - livedoor Blog(ブログ)
  • 「論壇」の終焉 - 池田信夫

    私のところには、「右派」の月刊誌が毎月送られてきますが、そのうち『諸君!』が6月号で廃刊が決まりました。日雑誌協会のデータによれば、6万2000部と総合雑誌の中では健闘しているほうだったから、あとの雑誌も時間の問題でしょう。『論座』や『現代』などの「左派誌」が廃刊したのに続いて右派誌もなくなると、いわゆる論壇誌が壊滅することになりそうです。送っていただいて申し訳ないが、これはやむをえないと思います。編集のセンスがどうしようもなく古いからです。 たとえば『諸君!』4月号の特集は「田母神俊雄=真贋論争を決着する」という秦郁彦と西尾幹二の対談。『正論』に至っては、ほとんど軍国老人の同人誌みたいなものです。比較的ましなのは『Voice』で、4月号では「給与カットで人材を守れ」という冨山和彦氏の原稿や「労働組合は社員の敵」という城繁幸氏の原稿が出ています。中谷巌氏が「北欧型『転職安心』社会を」と題

    「論壇」の終焉 - 池田信夫
  • 「信用」と「実需」のバランス - 松本徹三

    もう45年前のことになりますが、伊藤忠に入社して三年目の私は、当時の小菅宇一郎会長の秘書に突然任命されました。ちょうどその年に伊藤忠は社長交代があったのですが、世代交代を明確にする為、会長は完全に実務から身を引き、代表権も持たないことになったので、「秘書は若い奴でもよいだろう」ということになったのだと思います。当時の私は、営業の第一線でインド人を相手に商売のやり方を大いに学んでいたところでしたから、こんな仕事に回されたのは不意で、「早く営業に帰してほしい」と文句たらたらだったのですが、雲の上の人から急に身近な存在になった小菅さんは、大変人情に厚い人で、私には慈父のような存在でした。 近江商人の子弟を育てた八幡商業出身の小菅さんは、若い時は「相場の神様」と呼ばれ、「相場を張れば百戦百勝で負けることがなかった」と聞いていましたので、或る時、たまたま飛行機で隣の席に座らせてもらえたのを幸いに、

    「信用」と「実需」のバランス - 松本徹三
  • バルセロナから (Mobile World Congress) - 松本徹三

    今週は、スペインのバルセロナで行われているMobile World Congress にずっと出ていました。(ニュース記事などはこちらを参照ください)これは、かつては欧州生れのGSM / GPRSという第二世代の技術を採用し、現在はWCDMA / HSPAと呼ばれる第三世代の技術を採用しているモバイル通信事業者が中心になって運営している「GSMA」という組織が、毎年一回開催する業界最大のイベントです。(この組織の活動状況については2008年1219日付の私のブログ「GSMで起こっていること」をご参照ください。) 現在の経済危機のあおりで、さすがに今年の入場者は昨年に比べると15%程度少なかったようですが、それでも会場内には十分な活気がありました。GSMA内部のBoard Meetingなどの諸会議は、Congressに先立って先週末に行われましたが、ここでの討議はむしろ例年以上に活発でした

    バルセロナから (Mobile World Congress) - 松本徹三
  • 人口の都市集中が必要だ - 池田信夫

    北村さんの記事から「小泉改革と地方格差」というお題をいただいて、考えてみました。「構造改革で地方が疲弊した」というのは、よく聞かれる批判です。自民党政治家が言っているのは、バラマキ公共事業が減ったという話で同情の余地はないのですが、地方が衰退していることは事実です。しかし農家への所得補償で「地方を元気にする」という民主党の政策は、新たなバラマキになるおそれが強い。 人口の都市集中を抑制する「国土の均衡ある発展」を国策に掲げたのは、1970年代の田中角栄以来の全国総合開発計画ですが、これによって日の成長率が低下したという1970年体制論が、経済学では有力です。図のように1970年代以降、人口の都市集中が止まるのと並行して、実質成長率が低下しました。これは生産性の高い都市に労働人口が移ることによって人的資源が再配分される移動の経済性が失われたためです。 図でもわかるように、小泉政権の時代に

  • アメリカの問題と日本の問題 - 池田信夫

    北村さんのおっしゃるように、実際のアメリカ大統領はもちろん「弱い大統領」ではありません。大統領は与党の党首ではないが、党首以上の力をもっているので、de factoの権力は非常に強い。私は、それが憲法上のde jureの権力ではないという周知の事実を指摘したまでです。 阿川尚之氏の名著『憲法で読むアメリカ史』を読むと、アメリカが建国以来、バラバラの州をいかに連邦につなぎとめるかに苦労してきたことがわかります。日も江戸時代までは分権的な国でしたが、明治時代にプロイセンの憲法・行政法を輸入して、大陸型の中央集権的な国家になりました。さらに戦時体制によって中央集権国家は決定的になり、銀行から新聞に至るまで東京中心の国家システムができてしまいました。 こういう官僚国家は、明治以来の「追いつき型近代化」には適していていましたが、日が経済大国になって追いつくべき目標を失うと、失敗しても軌道修正がむ

    アメリカの問題と日本の問題 - 池田信夫
  • 名演説と黒子 - 北村隆司

    史上空前の大観衆を感動させたオバマ大統領の就任演説を「アメリカ政治家は弁舌に長けている」と書いた日の新聞があったが、私には賛成できない。名演説は一人の雄弁家だけで出来る事ではなく、背後にある高邁な理念と聴衆からの信頼を必要とする。 「言論(スピーチ)こそ、人を説得し、転向させ、屈服させる力である」とは、 「言論(スピーチ)こそ、人を説得し、転向させ、屈服させる力である」とはラルフ・ウオルドー・エマーソンが残した言葉だ。民主政治は、説得と納得を通じた治世が原則で、説得力は民主政治の指導者にとっては必須の条件である。説得による民主政治より、手っ取り早い権力や法律に頼って統治しがちな日で名演説が生まれない理由は、解らないでもない。 英国下院議場の与野党の議席は、2.5メートル離れて対峙している。紛争を決闘で解決していた中世の伝統を廃止して、議会の論戦を通して争いを解決する議会制度が誕生した

    名演説と黒子 - 北村隆司
    yukio2005
    yukio2005 2009/01/28
    名演説は一人の雄弁家だけで出来る事ではなく、背後にある高邁な理念と聴衆からの信頼を必要とする。
  • 「格差社会」の謎 - 松本徹三

    池田先生のブログを読んでいる中で、小倉さんという方が、「過去6年間のうちに、労働者が『階級間闘争』に敗れて、結果として格差が拡大した」という趣旨のことをおっしゃっておられることを知り、正直に言って大変驚きました。一方では、小林多喜二の「蟹工船」が最近突然よく読まれだしたということも、勿論既に聞いており、私ももう一度読んでみました。そこで感じたのは、タイムスリップを経験したような、何とも奇妙な違和感です。小林多喜二が執筆中だった頃の下層労働者の悲惨な生活水準に比べれば、現在の一時的失業者の生活水準は、ここ半世紀あまりの経済の底上げにより、比較にならないほど高いものです。不当な「格差」は、どんな時でも人々を「憤り」に駆り立てますが、誤った経済運営で生活水準自体が下がれば、「憤り」だけでは済まず、想像以上に悲惨な生活を送らなければならなくなります。(労働者が「階級間闘争」に勝利した筈の北朝鮮の一

    「格差社会」の謎 - 松本徹三
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