その肉体は、雄弁だ。彼を見ていると、役者にとって大切なものは、顔でも演技力でもなく肉体だと思えてくる。全身で演じる役者・小栗旬は、己の肉体をとことんまで追い詰め、役に染まっていく。 【写真を見る】小栗旬の鍛え上げられたカラダ 緊張感の漂うスタジオに3つの音だけが響き渡る。動作前の「シュッ」という呼吸音、拳や足がミットをとらえる「バシン!」という衝撃音、そしてその瞬間をとらえようと構えたカメラのシャッター音。そのたびに、彼の長い手足が華麗に宙を舞い、その無駄のない、流れるような肉体の動きに目を奪われる。 小栗旬は単なる二枚目俳優ではない。彼の魅力を感じるのに、リビングのテレビは少し小さすぎる。そのダイナミックで雄弁な肉体にふさわしいのは、おそらく舞台であり、映画の大きなスクリーンだ。 「理想の肉体? うーん……それはよくわからないですね。求める体は、そのとき演じる役によって変わりますから。し