被爆体験をもとに、広島で力強く生きる少年を描いた漫画「はだしのゲン」の作者中沢啓治さん(70)が15日、右目の白内障が悪化し続編の執筆を断念したことを明らかにした。 今年1月に受けた手術でも視力が回復せず「細かい線を描けなくなった」(中沢さん)ため。今後は漫画家の活動は行わず、絵画制作を通じて核兵器廃絶と平和を訴えるという。 続編は、主人公のゲンが上京し、漫画家の手伝いをしながら画家を目指す筋書き。被爆者への差別と戦いながら成長し、絵の修業のためフランスに向け出発するシーンまでを描く予定で、既に2回分の下書きを終え、出版社も決まっていた。 中沢さんは「期待していた読者には申し訳ない。東京で成長するゲンを想像してもらうことで伝わることもあるはず」としている。