第32週 古文書と対馬歴史民俗資料館…歴史の島・対馬⑬ 対馬の歴史の特異な点の一つは、中世から近世にいたる700年近い歴史の中で、支配者の交代が 見られなかったという点にあります。全国的にみれば、700年余り続いた封建時代、各地の支配者は 鎌倉時代の守護・地頭、室町時代には守護大名、さらに戦国大名、そして江戸時代の近世大名と 変わっていきますが、対馬においては一貫して宗氏の支配が続いてきました。 そのため島内の各集落においても、代々おなじ家系が有力者として続いてきました。そこで、中世のころ 島主からいただいた御判物、つまりお墨付きは江戸時代にあっても、その家柄を証明する有力な証拠でした から、各家々では代々伝わるこのような書付を大切に保管してきました。このような事情から、対馬には 中世のころの古文書が桁はずれに多く残されています。近世にいたっても同じことで、島内に残る古文書