※作品のネタバレを含みます。 毎年、八月が巡ってくるたびに日本では原爆祈念日、終戦祈念日などを迎えてさまざまな行事、特集などが組まれておのずと感慨を興させるのだが、さすがに戦中生まれの世代が少なくなり、それほど大々的に取り扱われることはなくなっているような気がする。それでも、幾多ものいまだに戦後生まれの中年以降の世代にも少なからぬ衝撃を与え、読まれ語り継がれ続けているのが中沢啓治・作『はだしのゲン』であろう。 原爆の惨状を中心に、戦中戦後の数多の混乱や困難に真っ向から立ち向かいひたむきに逞しく生き抜く少年・ゲンとその仲間、家族たちの生き様は現在に至るまで多くの読者にインパクトを与え続けている。それは時に、やや古くさい絵柄と大仰でベタ過ぎるストーリーと演出がパロディとしてネット上でしばしば取り上げられ定番になっているネタもある、という形でもあったりするのだが、作者の中沢氏としては「とにかくど