岡村道雄の著書『旧石器遺跡「捏造事件」』を読み終えて、怒りをこえて、虚しさと脱力感ははげしい。気分が悪くなった。 旧石器遺跡捏造の犯人・藤村新一は、岩宿(いわじゅく)遺跡の発見者の相沢忠洋にあこがれていた、という。岩宿遺跡は、教科書の日本史の最初にでてくるから、たいがいの人は習った記憶があるだろう。それまで日本に旧石器遺跡はない、といわれていた。だが、岩宿遺跡は、最初に確認された日本の旧石器遺跡、ということになった。その石器は、相沢忠洋が発見した。 相沢忠洋もまた、考古学の学問的な教育・訓練を受けてない。最終学歴は、青年学校卒業だ。青年学校とは、尋常小学校だけの教育で丁稚奉公などで働いている少年少女たちのために、働きながら簿記などの教育をうけるための学校だ。 軍隊から帰った相沢忠洋は、自転車で納豆の行商をやっているときに、道路の切り通しの関東ローム層に旧