積雪寒冷地である北海道の冬の生活では、特に防寒着は欠かせないものでした。道南地域では江戸時代からの交易により、木綿衣もみられます。なかには、幾重にも重ねた生地に木綿糸で丹念に刺して防寒性を高めるなど、さまざまな工夫がこらされました。また、明治以降には、赤ゲットやネルなど外国製毛織物を取り入れたほか、シャツと和服を組み合わせるなど和洋折衷のスタイルも生まれました。 ※アイヌ文化の衣服については、アイヌ文化「伝統の暮らしのすがた—衣・食・住」をご覧ください。 漁にも開墾にも、刺子の着物が活躍 早春のニシン漁はまだ寒さも厳しく、漁民は防寒のため、頭部には黒ネルの三角ふろしきや手ぬぐいのねじりハチマキ、上体には木綿のシャツと刺子着物のドンザ、下体には股引きをはきました。 ドンザは日本各地で見られ、ドンジャ、ツヅレ、サシコ、モジリなどとも呼ばれる、丈夫で保温性と防水性に優れた刺子の仕事着です。紺無地