解剖学者・養老孟司とAIの発展がめざましい棋界に身を置く棋士・羽生善治。AI化は、将棋界、ひいては社会にどんな影響を及ぼすのか。養老孟司と各界のトップランナーとの対談集『AIの壁 人間の知性を問いなおす』(PHP新書)より、内容を抜粋してお届けする。(構成・古川雅子、撮影:吉田和本) ※養老孟司,他著『AIの壁 人間の知性を問いなおす』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです AI化で「人間本来の暮らし」に戻る余白ができる 【羽生】私の中に一つ、問いかけみたいなものがあるんです。もし仮に、AI化が進んで、仕事をAIに奪われたとしますよね。そのときに「それでも人は働くのか?」という。 「働かなくても生活できるし、生きていけますよ」と言われたときに「働きますか?」と問われたら、私が思うに結構な人が働くんじゃないかなと。 【養老】日本人は間違いなく働きます(笑)。 【羽生】そうですよね。その