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ブックマーク / www.ebook2forum.com (4)

  • 和本論からE-Bookへ(5):学術版と公共的読書空間

    小林(龍生)さんの困ったところは ―もちろん最大の長所なのだが― 面白いネタと手掛かりを人の前に投げ出し、こちらがとびつくと、すぐまた別のものを目の前にちらつかせるところだ。来月号の入稿が迫っている時に、一刻も待てない別のアイデアを持ってこられる。漫談にはあまりに惜しく、こちらは何か成果をモノにしないといけないと思うから、メモリもCPUもOSも旧式な頭にウィンドウが次々に開いて困惑するほかない。今回はほとほと参った。せめて記憶が鮮明なうちに、「実感と断定」という最も素朴な方法で印象をメモしておきたい。 各テーマ(=ノード)の関連を整理するには、対象がすべて写るようにピントと絞りを調整すると同時に、個々の立体的位置関係を再確定しなければならない。そんなことを気でやったら10年はかかりそうなので、仮説に仮説を繋ぎ、端切れを接ぎ合わせて大風呂敷をつくり続ける羽目になる。村田(真)さんからは、い

  • 和本論からE-Book(3):書物とコミュニケーション

    論から始まった脱グーテンベルク研究会の第3回(2月1日)は、近藤泰弘教授(青山学院・日語学)を迎え、古典を翻刻・再現する場合に問題となる日語/表記の問題を考える機会を得た。コミュニケーションの空間を規定する言語は「生きもの」であり、社会的に多様であると同時に歴史的に変遷している。そしてそのあり方は言葉の容器としての書物の形態に依存する。言語と書物そして読書行為にまで踏み込むには、さらに大きめのテーマ設定が必要になってきた。そこでことしの秋までは続きそうな新しいフレームワークについてお話してみたい。 (鎌田博樹) 歴史を通してみた言語と表記問題 近藤先生が関わっておられる国立国語研究所の「通時コーパスの設計」プロジェクトは、古典語の通時的データベースとなるもので、小学館「新編日古典文学全集」をもとに、古今和歌集、土佐日記、竹取物語、伊勢物語、落窪物語、大和物語、枕草子、源氏物語、紫

  • 和本が拓いてきた世界 2 ─ 書入・注釈/橋口 侯之介

    橋口・和論の完結編は「書入と注釈」を取り上げる。コメントとアノテーションは、知識コミュニケーションの装置としてのの機能の最も重要な側面だ。そして和は非常にユニークな方法でソーシャルな空間を共時的、通時的に実現してきた。絵巻と黄表紙がマンガやアニメの祖型としたら、漢籍を拡張した「書入と注釈」はハイパーテキストの祖型であると思われる。だからこの祖型は、デジタルに、創造的に蘇らせることができるだろう。(編集子解題) 1. 装置としての書物:読み解かれることで再生産される知 和に対すると、テクストを受け入れるという意味での「読む」ことは、書物の持っている目的の一部分にすぎないことがよくわかる。作品をテクストという視点からだけで見てしまうと、書物の果たした役割が見えなくなってしまう。このことは書物がたんなる原典の複製的役割を持つだけでなく、さまざまな加工を施すことで、さらに進んだ別の世界に人

  • 和本が拓いてきた世界 1 ─脱Gから創造的技術への提案/橋口 侯之介

    10月31日、有志による私的研究プロジェクトである Project Beyond Gˆ3(以下脱G)の最初の研究会を開催した。G以前の書物と出版の世界について考え、Gによって失われた価値を明らかにすることを通じて、G以後のシステムが創造的であるための要件を定義し、実装・実験につなげていこうという趣旨である。第1回は、フォーラムの連載でおなじみの橋口 侯之介さんを講師に迎え、まず和の世界取り上げた。ここに発表資料を掲載する。なお続編である「書入・注釈」は12月1日の研究会を経て掲載予定。) 和が拓いてきた世界 ─ 脱Gから創造的技術への提案 橋口 侯之介 日では前近代から豊かな書物文化が根づいていた。それは江戸時代の奥行きのある広がりだけでなく、千年以上の時間軸があった。この時空のなかにG によって失われる以前の書物世界が生きていた。それが何なのか、どのように考えればよいのかを探って

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