国際情勢の1年間の推移を回顧するに当たって、勝海舟が述べた「着眼大局、着手小局」(物事を大局的に見て、小さなことから着手する)がいかに大切かを改めて痛感している。12月25日に国家基本問題研究所は米国、中国、インドの戦略家を招いて「戦後70年―国際政治の地殻変動にどう対処するか」をテーマに久しぶりの国際シンポジウムを開催した。中国の国際政治学者が直前になって欠席を伝えてきたが、どうしてそうなったのかの詮索はどうでもいい。自由に意見を表明できる民間の地政学者が、当面の問題を扱う役所の立場を超えた大局観を話し合った。 ●米の指導力低下 討議に参加した立場から所感を述べると、国際秩序は、①戦後の米ソ両陣営が対立した冷戦②ソ連崩壊後に現出した米国だけが飛び抜けた一極時代③中国が地域大国から世界大国を目指し、米国が国力の相対的衰退(中国、インド、ブラジルなどの国力増大)の中で指導力を低下しつつある現
昨年12月26日、安倍晋三首相が靖国神社に電撃的に参拝し、中国、韓国をはじめ国際社会から「失望した」(米政府)などと激しい批判が上がりました。第2次安倍内閣発足からちょうど1年の日でした。それから1年、24日にも予定される第3次安倍内閣発足に際して、再び安倍首相の靖国参拝問題が注目されます。 見過ごせないのは、侵略戦争を肯定・美化する「靖国」派の総本山といえる改憲・右翼団体「日本会議」が、昨年末の安倍首相の靖国参拝を「高く評価」した上で“連続参拝”を迫っていることです。 「反発している中韓両国に対して、我が国への外交的圧力が無意味・無力であることを悟らせるためにも、首相の靖国参拝を是非とも継続されんことを」(8月15日、声明) 第2次安倍改造内閣では、「日本会議」を支援する「日本会議国会議員懇談会」の所属議員が、閣僚19人中15人を占めました(首相含む)。この参拝圧力に安倍首相がどう応える
日本人にとって靖国神社とはどんな存在なのか。昨年暮れ、しんぶん赤旗に掲載された記事の中に気になる一文があった。 「靖国神社は、過去の日本軍国主義による侵略戦争を『自存自衛の正義のたたかい』『アジア解放の戦争』などと美化・宣伝することを存在意義とする特殊な施設です」 この記事によれば、靖国神社は「侵略戦争を美化する象徴」であり、ここを訪れるのは、あたかも過去の軍国主義を礼賛するのが目的であるかのような書きぶりである。 本当にそうなのか。もしそうだとしたら、靖国を参拝する日本人は、彼らがレッテルを貼りたがる「右翼」そのものではないか。 言うまでもなく、参拝者の多くは、侵略戦争を美化したり、軍国主義の復権なんか望んではいない。戦没者の英霊が祀られたこの場所を訪れた人は、国のために戦った人へ哀悼の意を示し、ただただ恒久平和を望んでいる。 一昨年暮れに参拝した安倍晋三首相も「靖国には戦争のヒーローが
昨年12月の衆院選で群馬2区から立候補し、比例代表で復活当選した維新の党、石関貴史氏の運動員3人が公選法違反(買収)の疑いで逮捕された事件で、群馬県警は5日、同容疑で元秘書の伊勢崎市議、山越清彦容疑者(43)を逮捕し、運動員の1人、本木博幸容疑者(49)を再逮捕した。県警は認否を明らかにしていない。 逮捕容疑は昨年12月上旬、山越容疑者が本木容疑者に対し、選挙運動のための看板を伊勢崎市内の県道などに掲示するよう依頼し、報酬として現金数十万円を渡したとしている。 2人は「(石関氏の)演説会に多数の有権者を集めるためだった」と話しているという。石関氏は事務所を通じ「事実関係は確認中であり分からないが、いずれにしても警察の捜査には協力したい」とのコメントを出した。
ソニーの米国子会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント社(SPE)へのハッキング行為を「北朝鮮の犯罪」と断定し、その報復として北朝鮮への経済制裁を行った米国政府。北朝鮮はこれまでも、核実験やミサイル発射などで国連を中心とする世界的な経済制裁を受け続けている。 ただ、すでに10年近くなる経済制裁にもかかわらず、北朝鮮経済は2010年代に入ってから徐々に回復、首都・平壌を中心に高層建築物が建ち並び、商業施設には多くの商品が並ぶようになった。 また、餓死者を出した最悪の食糧難を経て、この数年間は徐々に食糧生産量も自給できるほどの水準にまで達し、外国製の加工品の輸入も増加しているとの指摘も少なくはない。米国をはじめ国際社会からすれば、経済制裁の効果が疑われる現象が起きている。さまざまな抜け道がある、ということだ。 それは、北朝鮮の貿易総額で8割近くを占める中国の存在が大きい。北朝鮮も一国に偏る経
□拓殖大学総長・渡辺利夫 年は改まったが鬱々として晴れない。歳のせいであろうが、そればかりでもない。中韓はもとより欧米のクオリティペーパーまでが安倍晋三首相を「歴史修正主義者」と難じて恬然(てんぜん)たるありさまである。物心ついた頃に戦争を体験し、その後70年を生きてきた人間としてはどうにもやりきれない。 ≪大合唱の「歴史修正主義」≫ 歴史修正主義というが、歴史はむしろ恒常的に修正さるべきものであろう。つねに客観的で検証可能な歴史というものは存在しない。社会の支配的勢力がみずからの統治の正統性を訴えて歴史を編纂(へんさん)するというのはよくあることだ。中国の近現代史を貫くものが共産党の正統史観であり、韓国のそれは日本統治という「清算」すべき過去を抱えもつ史観に他ならない。日本史はそれほどあからさまではないが、イデオロギー時代の歪(ゆが)みはなお糺(ただ)されてはいない。 残念なことに、ナチ
エリザベス英女王(88)の次男、アンドルー王子(54)=王位継承順位5位=が未成年の少女と性的関係を持ったとする疑惑が、昨年末に米国で起こされた訴訟で浮上した問題で、英王室は4日、声明を発表し「断固として(疑惑を)否定する」と強調した。王室は2日にも否定声明を出したばかりで、同じ問題で立て続けに2回も対応するのは「前代未聞」(英BBC放送)。火消しに躍起となるのは、騒ぎが収まらなければ、王子のみならず王室にとっても深刻なダメージとなりかねないからだが、逆にメディアの報道は過熱してきている。 米訴訟で明るみに 疑惑は、米実業家のジェフリー・エプスタイン氏(61)をめぐる少女売春事件に関連して、12月29日に米フロリダ州ウエストパームビーチの地裁に起こされた訴訟で明るみに出た。原告は、少女時代にエプスタイン氏に売春を強要されたとする女性で、米政府を相手に「司法当局がエプスタイン氏と司法取引をし
昨年秋、小笠原諸島(東京都)周辺には中国からサンゴ密漁船が大挙して押し寄せ、その数は一時200隻以上に膨れ上がった。これほどまでに密漁船が増えたのは、昨年10月に福岡地裁で中国人漁民に出された「無罪判決」が影響したのではないか-との見方が関係者の間で浮上している。判決が出たのは中国船団が急増した時期とちょうど重なっており、判決が漁師たちの“遠征”を後押ししたとの見方も。今月から小笠原沖で逮捕された中国人船長らの公判が相次いで開かれるが、今後の法廷での証言に注目が集まる。 「領海内とはわからなかった」…無罪判決の衝撃 昨年10月15日、外国人漁業規制法違反(領海内操業)の罪に問われた中国国籍の男性に対する判決が、福岡地裁で言い渡された。結果は、「無罪」だった。 男性は平成26年5月、五島列島(長崎県)沖の日本の領海でサンゴ漁をしたとして、水産庁九州漁業調整事務所(福岡市)に現行犯逮捕された。
作家の幸田文に「たねを播(ま)く」と題した随筆作品がある。森林を見て歩くのがなにより好きという、老人から聞いた話を書いている。あるとき北海道に大きな台風が通り、風道にあたっていた樹木はことごとく倒された。 ▼2年後に現場を訪ねると、倒木の列のそばで、びっしりと並んだ針葉樹の若い芽立ちを見つけた。「人間の入らない場所では、自然が手際を見せるものですね」。文はこの言葉に、感銘を受ける。 ▼「当然、人のいる場所なら人が手際を見せるわけになる」。つまり、「種を播かなければダメだ」と強く思ったという。安倍政権の最大の課題のひとつが、「地方創生」である。まず種を播かなくては、始まらない。もっとも、それだけでは足りない。芽立ちを促す、手際の見せどころである。 ▼なぜ新年はめでたいのか。安政2(1855)年の元旦、獄中にあった吉田松陰は、こんな内容の年賀状を書いている。あて先は、2歳年下の妹、千代だった。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く