教科書採択の風景が変わりつつある。今夏に行われた各地での中学校教科書採択手続きをめぐり、学校現場の意向を追認する傾向が強かった教育委員会が自主的に判断するケースが目立ち始めたからだ。背景には事前の絞り込みを禁止した文部科学省の通知が影響しているとみられ、今後も教委の動向が注目される。一方、多面的な歴史観や日本の領土について詳述するなどした育鵬社版教科書の新規採択が相次ぎ、シェアを伸ばしている。(花房壮) ■事前の「絞り込み」禁止が影響 「教育委員の採択責任を徹底させたものだ」。6~8月に行われた各地での中学校教科書採択の手続きで文科省担当がこう評価するのが大阪市教委の試みだ。 同市教委では平成23年の前回の採択手続きまで、現場の教員が教科書を評価する調査会がランク付けをしていた。しかし、今回から優劣を明確にしないよう調査用紙に設けていた「特に優れている点」と「特に工夫・配慮を要する点」を書