体験型消費が進むラグジュアリー市場。ホテルやリゾートではかつての画一的なラグジュアリーの定義は消え、価値基準はよりパーソナルなものになってきている。 その証拠に、雑誌のライフスタイル誌は最新のホテルよりも、カスタマイズ可能なパーソナルな旅の特集を多く組むようになった。丹波の山奥の集落丸山や、佐渡島の期間限定のレストランなど、「近くて便利」とは真逆のスポットが賑いを見せ、あえて時間と手間をかけることに価値を見出す人が増えている。他の人が体験し得ないような、唯一無二の体験――。そんな場所の発掘が、昨今のラグジュアリーホテル業界に起きている地殻変動と言っていい。 この変化を捉え、東京でも体験重視の空間を提供しようと言うのが、今年6月に虎ノ門ヒルズに開業したアンダーズ東京である。彼らは消費者の変化をどのように捉え、そしてどのような価値を提供しようとしているのだろうか。総支配人、アルノード・サン=テ