「絶対に名は出さないでくれ」 台湾のシラスウナギ(ウナギの稚魚、以下シラス)輸出業者は我々取材班にそう告げた。なぜ名を出すことを頑(かたく)なに拒むのか──。それは彼に「罪」の自覚があるからである。 日本人の好物であるウナギを巡って、台湾、香港、日本を舞台に壮大な「不正」が行われている。今回、取材班はその舞台である台湾、香港へと飛び、関係者らを取材した。 取材のアポイントメントを入れるのにはかなり骨が折れた。当たり前だが話すメリットなどなく、誰も話したがらないからだ。だが、様々なコネクションを使って、交渉を続けた結果、匿名を条件に複数の人物が取材を受けてくれた。 2011年12月、台湾の桃園国際空港で香港行きの航空機に搭乗予定の乗客のスーツケースから押収された2万匹のシラス(写真・TAIWAN FISHERIES AGENCY)
記者・作家。北海道大学工学部卒。1989年より毎日新聞記者。ヨハネスブルク、メキシコ市、ローマなどに駐在。2005年、『絵はがきにされた少年』(集英社)で開高健ノンフィクション賞受賞。近著に『ぶらっとヒマラヤ』(毎日新聞出版)。 「メキシコって残酷じゃないですか殺し方が。バラバラにしたり、顔の皮をむいたり。あそこまでやられちゃうと残酷とか、怖いを超して、笑うところまでいっちゃうっていうか……。冗談みたいなこと、するっていうのか、遺体に対して。人の命、安いなあ、やすー、いやいや本当」 先日会った40代の女性作家が雑談でこんな話をしていた。年明け、メキシコのニュースが世界を騒がしたせいもあるだろう。 仲間にトンネルを掘らせて脱獄した麻薬王が再び逮捕された事件があった。逃亡中に米国の俳優ショーン・ペンがこの麻薬王にインタビューしていたことで、ニュース価値は高まった。また1月2日には、麻薬カルテル
エレヴェーターは上下にしか動かない時代が終わるかもしれない。ドイツのティッセンクルップが、水平方向にも動くエレヴェーターを完成させたのだ。ケーブルを用いずに縦横無尽に動き回る「未来のエレヴェーター」は、人の移動と建物の構造をどう変えていくのか。 エレヴェーターで知られるドイツの重工業メーカー、ティッセンクルップが、上下左右に動くエレヴェーターを開発していると発表したとき、人々は笑った。そんなエレヴェーターなど聞いたことがない──と。 誰もがエレヴェーターは2方向にしか動かないことを知っている。上と下だ。一部の人たちは、映画『チャーリーとチョコレート工場』に出てくるウィリー・ウォンカの横や斜め、水平にも動く奇妙なエレヴェーターにちなんで、「ウォンカヴェーター」と呼んだ。ティッセンクルップCEOであるパトリック・バスは、そうした反応について「多少は疑念の声があがりましたが」と、控えめに表現した
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く