僕は別にプーチンの肩を持つわけではないが、冷戦終結期のNATO不拡大の「約束」自体はあったと思っている。もちろん公文書や協定では残っていないだろうが、同時代を生きてきて、ここが疑われていることに驚く。 当時はNATO不拡大はむしろ常識であって、マスコミはそれを前提にした論調になっていたと思うのだが。公電や記者会見の記録でも残っているだろう。それを「約束」とみなすかどうかの話であって、信頼に価値を置く、信頼が相互理解の根底であるとみなすならば、いまさらソフィストまがいの詭弁を弄しても、分があるのはロシアであると思う。 NATOはもちろん対ソ封じ込めの道具であって、冷戦終結後、その存在意義を失くしたのである。このゾンビをそれぞれのプレイヤーがそれぞれの思惑で生かし続けたためのコンフリクトだろうと思う。 アメリカにとって今現在、NATOが存在する利益はなんだろうか。 第一に、単独の軍事行動を、多