背中を押すのはたやすいが、思いとどまらせるのは簡単ではない towfiqu ahamed-iStock. <記事の終わりに「いのちの電話」の番号さえ入れればどんな自殺報道も許されるかのような風潮がまかり通っているが、自殺報道そのものが背中を押すことを忘れてはならない> センシティブな話題であることを承知で書き始めるが、近年著名人の自裁報道に関して非常に違和感がある。該事案を報道する際に、記事の終わりに必ず「いのちの電話」等の相談ダイヤルを付してあるのだ。当然、著名人の自裁は、社会的に大きな影響を与え、自裁のキワにいる人々にネガティブな影響を与えるのは必定であるから、このような配慮は当然なされるべきである。しかし記事の最後にこの一文が挿入されることによって、逆説的にその人の死因が自裁である、とほぼ断定できてしまう。そもそも、その人の真の死因は、遺体を解剖しなければ確定的な結論を得るのは難しい