中国の歴史が停滞したのは、個人や個人企業がリスクを取ってフロンティアを拡大する仕組みがなかったからだ。いまそれが変わろうとしている。これは、きわめて重大な変化だ。 明の時代に成長が止まった 中国は、人類の長い歴史を通じて世界のトップにいた。しかし、ある時点から落伍した。 歴史の転換点はいつだったのか? 多くの歴史家によれば、それは、明の時代だ。 経済学者であるグレン・ハバードとティム・ケインによる『なぜ大国は衰退するのか ―古代ローマから現代まで』(日本経済新聞出版社、 2014年)は、つぎのように述べている。 歴史家のアンガス・マディソンが示したデータを見ると、明朝の頃に中国の成長が止まった。人口は増大したが、人口1人あたりのGDPが増えなくなった。1400年代以降の中国では、水準の変動がなくなった。 「明時代の早期に何か決定的なことが起きて、中国の運命を変えたのだ」と著者たちはいう。