『校門を閉めたのは教師か』に収録 女生徒が校門に挟まれて死んだという、例の兵庫県立神戸高塚高校の、その校門前に、ぼくら三人はビラ配りに行った。 ぼくは、DPクラブという、中高生の自由を中高生自身の手で勝ち取ろうというグループを主宰している19歳の高校中退生。沢村は、広島の高校をこの春に卒業して、埼玉で極貧生活を送っている18歳のプー太郎。中村は、つい最近千葉の高校を中退した16歳のカメラ少年。 ぼくら3人は、遅刻の校門指導で生徒が死ぬという前代未聞の事件に衝撃を受けていた。そして、学校の管理主義に対してよりも、むしろ、事件後も相変わらず平然と期末試験や授業を受けつづけている高塚高の生徒たちに対して云いようのない苛立ちを覚えていた。 報道によれば、校門に、死亡した石田僚子さん(15)がはさまれたためにできたスキマから、何人かの生徒が彼女の上を飛び越えて登校し、テストを受けたのだという。