Brandon Carter 「巨大数の一致と宇宙論における人間原理」(1) - わが忘れなばの続きです。第二章と第三章を訳しました。 2.伝統的な種類の予測 Bondi のリストに挙がっている最初の「巨大数の一致」は、恒星の大きさや色には―白色巨星から赤色矮星まで(もっと最近では中性子星も)―さまざまな種類があるのに、その質量 は必ず重力結合定数 の逆数と(10 の一乗か二乗の範囲内に収まるという意味で)同じケタ数を持つ、という観測事実だ。ただし、 は陽子の質量である。バリオンの総数を と表したとき、この関係は次のようにあらわすことができる。 、 (1) ここで、両辺ともに 程度の大きさである。Jordan(1947) はこの一致を説明するためには革命的な宇宙論的説明が必要だと考えたが、現在では拡散していたガス雲が凝集して恒星形成するという通常の理論によって予測できることを多くの人が知っ