「オレ、三菱の部長で月に400万円もらってるんだ」「ほら、オレって昔、ボクシングやってたからさ」——ぜーんぶウソだった 斜め掛けのポシェットに古びた革靴を履き、ボロい財布からゴールドカードを取り出す。どう見ても冴えない男がネオン街でその名を轟かせた。酒と女に溺れた元エリート社員、転落人生の一部始終。 身なりは地味な会社員 「ヤマさんは多いときは週4回、ほぼ毎日、この店に来てたよ。『僕は三菱の部長だから、月に400万円もらっているんだよ』って。仲良くなった女の子には、ブランド品とか家電一式とか、とにかくなんでも買ってあげてた。そんなお客さん、めったにいないじゃん?だから目立つわけ」 東京都足立区、北千住駅西口。再開発され、マルイとルミネが建ち並ぶ駅前から幹線道路を一つ越えると、大衆居酒屋やキャバクラ、ピンサロが軒を連ねる古くからの飲み屋街がある。 この街で名門・三菱グループのカネが闇に消えた