(古代ローマ彫刻、プリマポルタのアウグストゥス像) はじめに 白い大理石のギリシャ彫刻が、かつて極彩色にいろどられていたとされることを、あなたはご存知ですか? ちょっと想像してみて下さい、ルーヴル美術館にあるミロのヴィーナス像が、真っ白な大理石ではなく、原色の赤青黄緑……で着色されている様子を。純白のヴィーナスと極彩色のヴィーナス、あなたはどちらが好きですか? そして、あなたの美意識や趣味を他の人にも共感してもらいたい、と思いますか? 本記事では、古代ギリシャ彫刻のいわゆる「着色問題」を題材に、「である」ことと「であってほしい」ことについて考察します。 なお蛇足ではありますが、当記事のタイトルはもちろん、丸山眞男の『「である」ことと「する」こと』(1961)をふまえたものです。 「古代ギリシャ=白」という固定観念 そもそも、私たちはなぜこんなにも「古代ギリシャは白亜の文明」という、強い固定
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