であるが,これらは1980年のDSM-Ⅲ以来の長年の経験で到達した結論ではなかろうか. 振り返ってみると,DSM-Ⅲでは,疾患の定義を要約した3~4項目の診断基準にまとめることと,それに基づいた信頼性という数値目標にこだわったため,あたかもDSMとは診断基準のことだという誤解を与えてしまった.しかし,これを出発点として,米国では,診断基準を用いて選別された各疾患の病因,予後,心理的要因などの臨床研究が進み,DSM-5はこの33年間に蓄積されたエビデンスの集大成であるという印象である.その流れはDSMマニュアル各版の頁数を見ても明らかである.DSM-Ⅲ(1980):494頁,DSM-Ⅲ-R(1987):567頁,DSM-Ⅳ(1994):886頁,DSM-Ⅳ-TR(2000):950頁,そして今回のDSM-5(2013)では947頁だが,活字を小さく行数を増やして,膨れ上がった内容をやっと10
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