目に見えない「現在」をどうとらえるか……。 吉本の『マス・イメージ論』は、〈現在というものを、言葉の意味ではなく、像あるいは地形図でとらえようとした書物〉である。 吉本がとらえようとした1980年代という「現在」は、正体不明の歴史的大転換期にあった。 『共同幻想論』『言語にとって美とはなにか』の〈イメージ版〉でもある『マス・イメージ論』を、 この先の見えない生きづらい「現在」だからこそ心理臨床士が読解する試み。 ○目次 序 論 はじめに 『マス・イメージ論』の全体構成 『マス・イメージ論』を概観する 12論考の概要と流れを押さえる 問題設定 本 論 『マス・イメージ論』12論考を読む 【1】 「世界はどう変化したか」 (1)変成論 (2)停滞論 (3)推理論 (4)世界論 (5)差異論 (6)縮合論 (7)解体論 【2】 「言語表現はどう変化したか」 (8)喩法論 (9)詩語論 (10)地