2人の娘が今年、相次いで嫁に行った。 こんなに一時に行かれると、それなりに寂しいものはある。 もっとも、26歳の長女は7年前に付き合っていた男のことで私と大げんかをして家を出て行ったこともあり、カミさんは別にして私とはまったくの没交渉が続いていた。 それが去年、結婚する相手ができたといって連絡があり、同じ会社に勤めるという青年をともなって久しぶりに家にやってきた。緊張して顔色を青くしている青年が、なにやら微笑ましくて結婚を許したが、それでも娘が私と視線を交わすことはほとんどなかった。 2月に長女が結婚し、6月には次女が式を挙げた。 そして10月には2人が息を合わせたように妊娠を知らせてきた。 自分に孫ができるなんて。 心境的に、私は鳩が豆鉄砲を食ったような、そんな心持ちだった。 まあ子どもができて、「家族」がまた新たな一歩を踏み出すことは目出度いことではあるのだが。 そんなこんながあって1