次々暴言を吐くが人気の衰えない大統領候補を、30年も間近で見てきた執事が口を開いた――「NYタイムズ」紙のジャーナリスト、ジェイソン・ホロウィッツ氏のスクープ記事をここに掲載する。 赤の帽子は危険信号 フロリダ州パームビーチにある、「マー・ア・ラゴ」では、すべてが光り輝いていた。プールの水面も、シークレットサービスが乗った黒いSUVもキラキラ光っている。暖かい風がヤシの木々のあいだを吹きぬけた。入り口には守衛が1人立っていた。 ここはアメリカ大統領選の候補者ドナルド・トランプの別荘だ。 私がマー・ア・ラゴを訪れた日は、ちょうど「キング」が「宮殿」に帰還する日だった。地中海様式で建てられた屋敷の部屋数は、なんと118室。もともとは90年前、シリアル会社で莫大な富を得た起業家の娘が建てたものだったが、30年前にトランプが買い取り、余暇を過ごすための場所に使っている。仮にトランプが大統領になれば